nexdsd JAPAN 性分化疾患:家族のためのハンドブック

Consortium on the Management of DSDが発行している「性分化疾患:家族のためのハンドブック」の翻訳など、性に関する様々な体の発達状態を持つ人々と家族の方々をサポートできる情報をお送りします。

(1)お父さん、お母さんへ

 お父さんお母さん、ちょうど皆さんが、自分のお子さんが何らかの性分化疾患を持っていると分かったときであれば、混乱し重い気持ちになってらっしゃるかもしれません。こういう状況では、他のご両親と同じように、こういう疑問が心の中に浮かんでいるのではないですか?

  • なぜ?なぜうちの子が?
  • 私が何か悪かったのだろうか?
  • この子を愛せなかったらどうしよう。
  • お医者さんは全部話してくれてるんだろうか?後でもっと何か言われるのでは?
  • 家族や友達になんて話せばいいんだろう?
  • こういうこと全部を解決する方法があるんだろうか?


 こういった疑問は、こういう状況にあるご両親に共通のものです。私たちは、このハンドブックが、こういった疑問に皆さんが自分なりに対応し、心強く、より確かに、混乱ばかりにならないようになっていくのに役に立てればと願っています。そして、皆さんの愛情あるサポートで、お子さんが健やかに、幸せに、愛し愛されるよう成長していけると皆さんが思えるようになればと思っています。


 このハンドブックには、それぞれのお子さんの状態についての医学的情報はほとんど載っていません。性分化疾患に数えられる状態は大変に多く、その全てをここでカバーすることはできないからです。でもその代わりに、この本では、身体の性別とこころの性別についての基本的な情報をお伝えできればと思っています。また皆さんのこころのサポートと、自分の気持ちにどう対応していけばいいか、毎日の生活のヒントになれればと思っています。お子さんが社会の中で力強くやっていけるようになっていくにはどうしていけばいいか、そのヒント、そして、お子さんの成長に合わせて、息子さんや娘さん本人(あるいは別の人たち)にどういう風に話しをしていけばいいか、そのアドバイスを提供できればと思っています。このハンドブックの一番の目的は、皆さんが、自分の子どもとの人生という旅を送っていく上での助けになることなのです。


 この本は最初から最後まで読み通せるようにもなっていますが、必要なところだけを選んで、飛ばして読むこともできるようになっています。とりあえず、『第1章:お父さんお母さんへ』は全部読んでみてください。ここでは性分化疾患を持つ子どもが抱える主な課題についてまとめてあります。『第2章:子どもの成長と、子どもにどのように話をしていくのか』は、お子さんの成長に沿って、皆さんと歩んでいくことを目的にしています。そして、子どもの性分化疾患について、子どもにどのように話をしていくのか、お子さんの年代に応じてまとめました。第3章:周りの人にはどう話すかは、必要に応じて、周りの人にお子さんの性分化疾患についてどのように話すのか、その実際的なアドバイスになっています。たとえば、日常子どもに接する人や先生にどのように話すのか、ということをまとめています。第4章:よくある質問では、性分化疾患を持つ子どもを育てていく上で、親御さんによくある質問に答えています。第5章:資料集は、病院に行く時などに皆さんが事前にできること、子育て日記をつけるときなどに役に立つ資料をまとめました。第6章:親御さんや、性分化疾患を持つ人々の思い・考えでは、同じ立場の親御さんからの、実際の生活体験についての皆さんへの手紙と、大人になった性分化疾患を持つ皆さんの思い出―それぞれの体験のキーポイントについての話をまとめています。その中には、今振り返って、彼らが本当は親に分かってもらいたいと思っていたことを知るヒントにもなっています。『用語集(言葉の説明)』は、普段なじみのない専門用語とそれぞれの意味をリストにしています。

 読み始める前にひとつだけ。このハンドブックはお子さんの性分化疾患のことを中心にしていますが、それはあくまでお子さんの全体像の中のひとつとして捉えるようにしてください。お子さんの性分化疾患は、皆さんやお子さんの前に立ちはだかる超高層ビルのように感じられることもあるでしょう。けれども、性分化疾患は、お子さんの人生のただひとつの側面でしかありませんし、お子さんと歩む皆さんの人生のひとつの側面でしかありません。お子さんと皆さんとの関係は、このハンドブックで書けるものよりも、実際にはずっと豊かで大きいものなのです。そのことを忘れないでください。