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nexdsd JAPAN 性分化疾患:家族のためのハンドブック

Consortium on the Management of DSDが発行している「性分化疾患:家族のためのハンドブック」の翻訳など、性に関する様々な体の発達状態を持つ人々と家族の方々をサポートできる情報をお送りします。

(3)性分化疾患(DSD)とは何か?

 このハンドブックでは、「からだの性」という言葉を、男性もしくは女性であることに関係する私たちの身体の肉体的な部分について使っています。皆さんの「からだの性」には、「性染色体」(このことは後ほど詳しくお話します)、そして、卵巣もしくは精巣、膣、クリトリス、ペニス、陰嚢などの、生殖器があります。性ホルモンは、皆さんの身体の性のもうひとつの側面です。性ホルモンは、皆さんの身体の中で、血液を通して流れる、化学物質でできたメッセンジャーです。性ホルモンは皆さんの身体を成長させ、性的な成熟をもたらします。たとえば、皆さんが生まれる前、性ホルモンは、性器の成長を進め、思春期には、子どもから大人の男性、女性の身体に変化していく役割をしています。


[ 受胎してから死ぬまでの間、私たちの身体は性の成長のたくさんのステップをたどっていきます。たとえば思春期、皆さんは、子どもの身体から、性的に成熟した男性、女性の身体になっていったでしょう。思春期や、閉経期は、性の成長の中でも、見た目にもかなりはっきりしたひとつのステップです。でも、本当は、普段それほどはっきりとは分からなくても、性の成長にはもっとたくさんの段階があるのです。性の成長は、まさに受胎の段階から始まり、子宮の中にいる時も、まだ幼い子ども時代にも、思春期にも、大人になっても、歳をとっても起きていることなのです。

 「性分化」とは、男の子と女の子、それに男性と女性が、それぞれ異なった性的成長の方向をとっていくことを言います。たとえば子宮の中で、受胎の数週間後、胎児は「前生殖腺」を形作っていきます。数週間後には、この前生殖腺が、通常は、精巣か卵巣のどちらかになっていきます。この成長が起きるのは、前生殖腺が卵巣か精巣になるよう分化していくのは、生まれてくるよりずっと前のこの一度きりなのです。

 性器(ペニスやクリトリス、陰嚢や陰唇など)もまた、人の人生の様々な段階で分化していきます。性分化疾患を持つ子どもは、平均とは異なったように見える性器を持っていることがあります。性分化疾患を持つ子どもの全員が平均とは違ったように見える性器を持っているわけではありませんし、平均とは違ったように見える性器を持った人全員が性分化疾患を持っているわけではありません。(ここでの「平均」とは、男性女性それぞれの、性器の大きさ形などのだいたいの標準あたりのことを言っているにすぎません)。図5.1「生まれる前の外性器の発達」に外性器の発達の図を載せています。そこでもっと詳しく性器の成長についてお話しています。



(図5.1.)


 性分化の最初の段階は、受胎直後に起きていると言えます。卵子も精子もそれぞれ染色体(その中には更に遺伝子が含まれています)を含んでいます。遺伝子とは、人の身体の設計図のようなものです。ほかの染色体と同じように、通常は、お母さんの卵子からX染色体ひとつを、お父さんの精子からはX染色体またはY染色体のどちらかを、子どもはもらいます。なので、最初の性分化は、まさに受胎のときに起きていると言えるのです。

 人のからだの性は、人生の中で、本当に多くの段階を経て成長していきますので、男の子にも女の子にも、ひとつの平均にはならないような成長の仕方をしていくポイントがたくさんあることになります。からだの性の成長の仕方が通常と異なる場合、その状態が、しばしば「性分化疾患(DSD)」と呼ばれているのです。なので、性分化疾患とは、からだの性の成長の様々なたくさんのバリエーションにつけられた名前なのです。このような状態は大抵の場合、「男性化先天性副腎皮質過形成」や「アンドロゲン不応症」のように、より専門的な名前で呼ばれます。