nexdsd JAPAN 性分化疾患情報サイト

体の性の様々な発達(性分化疾患)に関する情報を発信します。

(2)ここで使う用語について


代名詞(彼/彼女、息子さん/娘さん)

 お気づきかもしれませんが、このハンドブックで私たちは、お子さんやご両親について話をする際、「彼(息子さん)」という代名詞を使うこともあれば、「彼女(娘さん)」という代名詞を使うこともあります。このハンドブックを執筆するとき、まず私たちは常に「息子さんや娘さん(彼や彼女)」というフレーズを使うようにしました。これは、息子さん娘さん、男性女性、父親母親どちらにも対応できるようにするためなのですが、読みにくくなっているかもしれません。また、私たちが「彼もしくは彼女(息子さんや娘さん)」というフレーズを使うのは、お子さんはこころの性別がはっきりしないということを示すためにそうしているのではないということをご理解いただければと思います。ただただ、様々な人に対応できるように、代名詞を使い分けているだけです。*1


こころの性別

 このハンドブックでは、男の子・女の子、あるいは男性・女性としてのアイデンティティについてお話をするときに、「こころの性別」という言葉を使っています。「性別役割」という言葉は、人が社会的に、男の子あるいは女の子、男性あるいは女性として見られるかどうかということを表すものとして、性自認(性別同一性)」という言葉は、自分は男の子、女の子、男性あるいは女性であるという、心の中での感覚を表すものとして使用します。“赤ちゃんを女の子に「性別判定」する”とは、彼女(娘さん)は(外科手術は関係なく)女の子として育てられるということを、性自認(性別同一性)の発達」とは、彼女の心の中での自己感覚(“自分である”という感覚)の成長を表します。

 「こころの性別」は、「からだの性別」のこととは違います。「からだの性別」は、その人のからだのつくりのことを指します(詳しくはこれからお話していきましょう)。重要なことですが、「性染色体」、「性ホルモン」そして「性組織(おちんちんや精巣など)」は、その人が自分の心の中でどのような性自認を感じるように成長するのかということを、必ずしも決定するわけではありません。時には、人の性自認は、その人の性染色体や性器から推測するものとは異なるということがあるのです。

 「こころの性別」は、単純に2つに収まるものではありません。ほとんどの女性・女の子でも、「男っぽい」と言われるような傾向や興味、ふるまい方を少しは持っているでしょうし、ほとんどの男性・男の子でも、「女っぽい」と言われるような傾向や興味、ふるまい方を持っているものでしょう。「男っぽい」要素と「女っぽい」要素が混じっているというように感じている人もいますし、こころの性別に求められるものは文化によっても異なります。


からだの性別

 最後の章でも触れますが、このハンドブックでは、男性であること、女性であることに関わる私たちのからだのつくり・生物学的組織についてお話しするときは、「からだの性別」という言葉を使います。このハンドブックで「からだの性別」と言う時は、生物学的(からだ的)見地から、その人が男性であるか女性であるかという話をするときです。「からだの性別」には、「性染色体(XまたはY染色体)」卵巣・精巣・陰唇・クリトリス・おちんちん・陰嚢などの性別に関わる生物学的組織などがあります。性ホルモンもからだの性別の別の側面を形成します。性ホルモンは血液によって運ばれる、化学物質でできた、からだの中のメッセンジャーです。性ホルモンによって、私たちのからだは成熟し、性的に機能できるようになります。「からだの性の発達・成熟」という言葉を使うときは、からだ的性質の観点から見た、からだの変化のことを指します。それはたとえば、生殖器の構造の変化や、性ホルモンの変化(第二次性徴など)のことなどです。


セクシャリティ・性指向

 セクシャリティとは、人間の性的存在としての体験のことを言います。パートナーとの愛情を持った性的行為やその他の親密な関係などが、セクシャリティのひとつです。愛したい愛されたいという気持ちもセクシャリティのことと言えるでしょう。「性指向」とは、ある人が異性愛(「異性」の人を好きになること)か、同性愛(同性の人を好きになること)か、あるいは両性愛(男性も女性も好きになること)かということを表すのに一般に使われる言葉です。大多数の女性は男性のことが好きになり、大多数の男性は女性を好きになりますが、人間の性指向は、その人のこころの性別やからだの性別から分かるものではないのです。

*1:訳者注:原文の英語では、お子さんの話をするときは、"he"(彼)、"she"(彼女)、"he or she"(彼や彼女)などの代名詞が使われています。私たちの日本語訳では、"he""she"と書かれている場合は、すべて「お子さん」と訳し、"he or she"と書かれている場合は「息子さんや娘さん」と訳すように統一しています。