nexdsd JAPAN 性分化疾患:家族のためのハンドブック

Consortium on the Management of DSDが発行している「性分化疾患:家族のためのハンドブック」の翻訳など、性に関する様々な体の発達状態を持つ人々と家族の方々をサポートできる情報をお送りします。

(5−1)3歳から5歳頃まで(小学校に入る前まで)

ここでご紹介しているハンドブックはアメリカで作成されたものです。欧米と日本とでは文化差や、子どもの発達・成熟には大きな違いがあります。必ずしも、ここに書いてあることが正解ということにはなりません。欧米でも指摘されていますが、最も大切なのはお子さん個々の理解力の発達やご家族の状況です。話すか話さないかということも含めて、その答えはそれぞれのご家庭によって異なります。その上で読んでいただければと思います。


 お子さんもこの時期になると、もっとたくさんの情報を理解する能力が発達してきます。3歳以前にはそれほどたくさんの質問をしてこなかったとしても、この時期には、たくさんの疑問を皆さんに聞いてくるようになるでしょう。もちろん、3歳頃までと比べればたくさんの情報を吸収できるようになっていくとは言え、自分の性分化疾患のことを、細かいところまで全部理解できるにはまだ早い時期です。けれども、この時期のお子さんは、周りの同じ年齢のお友達とどこが似ててどこが違うのか理解しはじめるようになってきますし、自分の性分化疾患のことについて簡単な説明なら理解できるようになってきます。

 この時期の子どもは身体的にも成熟し続けます。ほとんどの子どもは、走ったりジャンプしたり三輪車に乗ったり鉄棒にぶら下がったりするようなことを覚えていきます。ボタンをかけたり靴ひもを結ぶなど、もっと小さかった頃にはできなかったこともしはじめます。

 この頃多くの子どもは、親から離れていても大丈夫なようになってきます。もっと小さかった時よりも記憶力が伸びて、皆さん親御さんがどこかに出かけても、ちゃんと戻ってきてくれるんだということが覚えておけるほど、時間の感覚が成熟してくるからです。けれども、なにか不安なことがあるときには、しがみついて離れなかったり「バイバイ」がなかなか言えなかったり、行動面で幼児がえりをすることもあります。このような行動は通常、普通に見られることですので、性分化疾患とは関係はありません。

 性分化疾患を持つ子どもの多くは、特別な医療検査を受けたり、他の多くの子どもとは違う見た目の性器を持って生まれたことを知っていくという難題など、他の子どもがしないような体験をしていかねばなりません。こういう事情で、親御さんには、子どもが自分の手の届く範囲の外に行かないようにするために必要以上に保護的になったり、子どもだけでなく自分自身も社会的交流から遠ざかろうとされることがあります。それが少しの間だけであれば、親も子どもも安心を得られるでしょうが、それが長期間になると、親から離れるという練習の機会を少なくしてしまうことになります。これではむしろ親御さんにも子どもにも、離れなければいけないときに、ストレスを増やしてしまうことになってしまいます。

 自分がこういう状態になってしまっているとお気づきになったら、お子さんから離れるような用事を避けてお子さんやご自身を守ろうとし過ぎているんじゃないか、どうなんだろう?と考えるようにしてください。そして子どもはみんな、時々親から離れるということを学んでいかなきゃならないんだということを思い出していただきたいのです。親と離れる時は「安心な」ところにお子さんを預けるということも考えてみましょう。知り合いで信頼出来る他の親御さんと子どものおうちでしたら、皆さんも安心ではないですか?皆さんはずっとお子さんと一緒の部屋にはいられません。だから、離れていても大丈夫でいられる方法に取り組んでいくことが大事なのです。よく覚えておいてください。

 皆さん親御さんと離れるときにお子さんが悲しんだり不安になるようであれば、これはたくさんの親御さんがおっしゃってることですが、ちゃんと自分は戻ってくるんだよということをお子さんに約束するなどしてあげて、そういうことを毎日しっかりと繰り返してあげるといいでしょう。出かけることと戻ってくることを日常のくり返しにして、離れている間はできるだけ同じ人に面倒をみてもらうようにして下さい。そうすればお子さんも、お父さんお母さんと離れても大丈夫なんだと学んでいきますし、皆さんも子どもと離れることに慣れていけます。