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nexdsd JAPAN 性分化疾患:家族のためのハンドブック

Consortium on the Management of DSDが発行している「性分化疾患:家族のためのハンドブック」の翻訳など、性に関する様々な体の発達状態を持つ人々と家族の方々をサポートできる情報をお送りします。

(5−3)3歳から5歳頃まで(小学校に入る前まで)

ここでご紹介しているハンドブックはアメリカで作成されたものです。欧米と日本とでは文化差や、子どもの発達・成熟には大きな違いがあります。必ずしも、ここに書いてあることが正解ということにはなりません。欧米でも指摘されていますが、最も大切なのはお子さん個々の理解力の発達やご家族の状況です。話すか話さないかということも含めて、その答えはそれぞれのご家庭によって異なります。その上で読んでいただければと思います。


 もしお子さんの性器が、他の大多数の男の子、あるいは女の子とで見た目が違ったり、おしっこの仕方が違ったりする場合、お子さんは成長するにつれて、それに気がついていかれるでしょう。小学校に入るまでの時期には、多くの子どもはお医者さんごっこなどをして、お互いのからだがどんなふうになっているか探求します。これはこの時期の子どもには普通に見られることですが、性分化疾患を持つ子どもの中には、自分の性器が同じ性別の友達と、見た目が違ったり、おしっこの仕方が違うことに気がつくようになる子もいます。まだこの年齢では、それがどんな違いなのかまでは分からないにしても、からだのつくり(からだのそれぞれの部分)と、お子さんが平均的なものとはどんなふうに違うのか、話をしはじめることが大切でしょう。たとえば・・・


子ども: 「なんで僕のおちんちんは、他の人のと違うの?」

: 「お前のおちんちんの見た目が違うのは、[性分化疾患の疾患名:たとえば「尿道下裂」「卵精巣性性分化疾患」など]って呼ばれているものを持っているからなんだ。お前が生まれる前、お母さんのお腹の中にいるときに、お前のおちんちんは[性分化疾患の疾患名]で違う形になったんだ。」

子ども: 「なんで違っちゃったの?」


(ここではそれぞれの状況に合わせて、あり得る答えを3つご紹介します)

: (原因が全くわからない場合)「お母さんにもなんでなのかはっきり分からないの。人間のからだにはたくさんのパーツがあって、それぞれいろんな形や色があるのよ。目や目の色もそう。青い目の人もいれば茶色の目の人もいるでしょう。なんで私たちのからだがそうなるのか、今でも誰にも分からないの。あなたが大きくなったら、なんであなたのおちんちんがこういう形なのか分かるようになるかもしれない。でも、どんな違いがあったって、お母さんがあなたを愛していることはかわりない。そのままのあなたが、お母さんは大好きなのよ。」

: (遺伝が原因と思われる場合)「お前の持ってるおもちゃにも、どうやって組み立てるのか説明書が入ってたのがあっただろ。それと同じで、人間にもそれぞれ、遺伝子っていう組み立て説明書が入ってるんだ。人間はみんな、ひとりひとり自分自身の組み立て説明書を持ってるんだよ。青い目の人もいれば茶色の目の人もいる。それはみんなそれぞれの組み立て説明書からそうなってるんだ。お前もお前自身の組み立て説明書を持っていて、それでお前がそうなってるんだ。お父さんはそういうそのままのお前が大好きなんだよ。」

: (胎内の環境が原因と思われる場合)「あなたがお母さんのお腹の中にいるとき、その時におちんちんは出来上がるの。お腹の中にいたとき、あなたの周りで起こったことで、他の人とはちょっと違う形になったの。お母さんのお腹の中で起こったことで、あなただけの形になったのよ。あなたが生まれたとき、あなたには指が10本あって、もうたくさん髪が生えてて、おちんちんは[どんな形だったか説明して下さい]だったの。あなたという大好きな人が生まれてとてもうれしかった。お母さんはそのままのあなたが大好きなの。」
  

 もしお子さんがすでに性器の手術を受けていらっしゃるなら、手術について優しく簡単に話しはじめるちょうどいい機会です。なぜ手術が行われたのか基本的なところをお話しし(たとえば、「あなたのおちんちんはね、おしっこが出る穴がなかったの。だから、おしっこがちゃんと出るようにって、お医者さんは穴を開けなきゃいけなかったの。」というように)、お子さんの手術についての疑問・質問に答えてあげてください。人形や動物のぬいぐるみを使って説明してもいいでしょう。

 性分化疾患を持つ子どもの親御さんは、子どもが質問してきたときには、図5.1「生まれる前の外性器の発達」と図5.2「様々な外性器の形」が役に立ったとおっしゃっています。図5.1は、6週間目の胎児からの性器の発達が図示してあり、人の性器はこの時点では、男の子も女の子もみんな同じように見えることが説明できます。図はそれからの性器の成長を描いていますので、これをお子さんに見てもらい、どの時点でお子さんの性器は違う形になりはじめたのか教えることができます。お子さんが図を理解できるなら、自分に起こっていることを理解しやすくなるでしょう。図5.2の「性器のバリエーション」は、息子さんや娘さんの性器が、生まれたときどんな形をしていたのか、今どんな形になっているのか、お子さんに説明できるようになっています。



(図5.1.)生まれる前の外性器の発達



(図5.2.)様々な外性器の形