nexdsd JAPAN 性分化疾患情報サイト

体の性の様々な発達(性分化疾患)に関する情報を発信します。

(5−4)3歳から5歳頃まで(小学校に入る前まで)

ここでご紹介しているハンドブックはアメリカで作成されたものです。欧米と日本とでは文化差や、子どもの発達・成熟には大きな違いがあります。必ずしも、ここに書いてあることが正解ということにはなりません。欧米でも指摘されていますが、最も大切なのはお子さん個々の理解力の発達やご家族の状況です。話すか話さないかということも含めて、その答えはそれぞれのご家庭によって異なります。その上で読んでいただければと思います。

  
 この時期の子どもは、からだのはたらきについてたくさん質問してくるものです。皆さんのお子さんには、何を聞いても大丈夫だよと知っておいてもらうのが大切です。親御さんにとっては、性器のことや子どもがどうやってできるかということ、生殖機能のことを子どもに話をするのは、ためらわれても当然でしょう。子どもに生殖機能の話をするときは、このハンドブックが役に立ったとおっしゃる親御さんもいらっしゃいました。ハンドブックの最後の方の資料集では、いくつかヒントを載せています。子どもが性交渉について聞いてきたときは、どうしたらいいのか困る親御さんがほとんどですが、経験を積んでいけば、説明しやすくなるようです。お子さんのレベルに合わせて、お子さんの疑問に誠実に答えていきましょう。


子ども: 「赤ちゃんてどうやってできるの?」

親: 「ほとんどの女の人は、卵子っていう赤ちゃんの卵のようなものを、からだの中に持ってるんだ。ほとんどの男の人は、精子っていうのをからだの中に持ってる。卵子が精子とが出会ったとき、赤ちゃんがお母さんの子宮の中で育ちはじめることがあるんだよ。」
  

 これで納得する子どももいますが、もっと聞いてくる子どももいるでしょう。会話の流れはお子さんに任せて、お子さんが理解できる範囲で誠実に答えていきましょう。


子ども: 「精子と卵子はどうやって一緒になるの?」

親: 「男の人がおちんちんを使って、女の人に大切なところからあげるのよ。」

子ども: 「赤ちゃんはどうやって出てくるの?」

親: 「赤ちゃんは大きくなったら、お母さんの大切なところから出てくるんだよ。」
  

 まだこの年代の子どもが、自分は子どもの親になれるのかと聞いてきても驚かないで下さい。性分化疾患を持つ人が生物学的なつながりのある子どもを持てるかどうかは、それぞれの疾患状況やどのような医療を受けてきたかによって違います。また、お子さんが将来子どもの親になりたいと思ったときの、生殖医療技術の進歩がどれほどのものになっているかにもよるでしょう。性分化疾患が原因で現在不妊と思われる子どもの中にも、生殖技術が進めば、まだまだ先のこととして、生物学的な親になれる可能性はあるかもしれません。

 お子さんのケースで不妊が問題であるようならば、親になる他の方法について、息子さんや娘さんに誠実に話しをしていくのに早すぎるということはありません。ただし、くりかえしますが、あくまでお子さんが知りたいと思っている範囲に気をつけて下さい。そしてお子さんの疑問に答えるときは、皆さんの中では様々な感情が呼び起こされるでしょうが、お話されるときに悲しくなったり防衛的になったとしても、それは当然のことなのです。ご自身の感情について考えながら、お子さんに誠実に話しをしていくようにしましょう。


子ども: 「赤ちゃんを作るのに、僕は精子を女の人にあげられるの?」もしくは「私は赤ちゃんをお腹の中で育てられるの?」

親: 「今はね、それができるかどうかお母さんにも分らないの。そういうふうに赤ちゃんを作るっていうのができない人もたくさんいるの。いろいろな理由でね。あなたは[お子さんの疾患の名前]があるから、もしかしたらそういうふうには赤ちゃんができないかもしれない。でも、あなたがママ(パパ)になれないってわけじゃないの。親になる方法はたくさんあるのよ。養子で子どもに来てもらうっていう方法もあるの。ママ(パパ)になるのに絶対赤ちゃんを作らなきゃいけないってわけじゃないのよ。お友達のジョー君を知ってるでしょ。ジョー君のお父さんとお母さんが言ってたの覚えてる?ジョー君のお父さんとお母さんは、彼を生んだお母さんから、ジョー君を養子にもらったって。ふたりは今はジョー君のお父さんとお母さんよ。あなたも大きくなったら、ジョー君のお父さんお母さんと同じように、子どもを養子にもらうことができるの。ふたりのように、あなたも毎年、赤ちゃんが来てくれた日をお祝いするようになるかもね。(少し待って、お子さんが何も言わないようなら)もっと何か聞きたいことはある?」
  

   
 この時期になると、子どもは、自分自身を男の子、もしくは女の子として見なす認識能力も成長し、同性の親をコピーするようになっていきます。女の子ならお母さんのように行動しようとするでしょうし、男の子ならお父さんのように行動しようとします。このプロセス、すなわち「性別役割の社会化」のプロセスは、10歳代になってもずっと続きます。性別役割の社会化は、子どもが男の子と女の子、男性と女性がそれぞれどのように行動するか、どのような行動を求められているか、その違いに気がつくところからはじまっていきます。自分の性別にとって、どのような行動が「適切だ」と見なされているか、認識しはじめるのです。一般的には、女の子はお母さんごっこなどの“ごっこ遊び(人との関係の中での役割を演じる遊び)”をしようとし、男の子はブロック遊びなどの“物を操作する遊び”をしようとします。これは別に、男の子は人形遊びをしないというわけではありませんし、女の子は乱暴だったりスポーツをしたりしないということでもありません。けれどもこの時期、多くの子どもたちは、自分が身につけつつある性別役割を、遊びの中で実践したがるのです。

 皆さんのお子さんがこのように分類に基づいた遊びや行動をされるでしょうが、覚えておいていただきたいのは、男の子、女の子それぞれの行動と言っても、それぞれには大きな幅があるということです。今日、性別役割は昔ほど厳しいものではありません。現在では女の子も、昔は男の子のやることだと思われていたこと(相手にぶつかっていくようなスポーツなど)を仕事にできるようになっていますし、男の子も、昔は女の子がやると思われていたこと(子ども保育など)を仕事にできるようになっています。昔と違って、今は別にからかわれるということもありません。実際にはこれまでもずっとそうだったのでしょうが、現在では、どちらの性別の子どもの行動には、広い幅があります。女の子でも、おしとやかで静かな子もいれば、活発で大胆な子もいますし、同じく男の子でも、思慮深く用心深い子もいれば、積極的ですぐ行動に移す子もいますよね。

 大事なことですが、お子さんの男の子っぽさ女の子っぽさについて否定的に考えて、直そうとしないでください。たとえば、「男の子みたいよ!」と娘さんに言ったり、「女みたいに投げるな!」と息子さんに言うようなことは止めるようにしてください。このように否定的に矯正しようとすると、子どもは自分が何者なのか、逆に恐ろしく不安になってしまいます。

 まだこの時期の子どもは、反対の性別であるかのように遊ぶことは珍しくありません。まだ小さな男の子が女性のように着飾ったり、まだ小さな女の子が、自分は男の子だと言ったりすることはあるのです。皆さんのお子さんがそういうことを言ったりやったりしても、それは息子さんや娘さんが性分化疾患を持って生まれたこととは関係ありません。性分化疾患を持たない子どもでも、この年代ではそういうことはたくさんあります。お子さんがどのように感じどのように振る舞うか全く無視するべきだとは言いませんが、ちょっとしたお子さんの言動だけで、お子さんの性別が決まるほど、こころの性別とは単純なものではありませんし、ましてや「間違った」性別を判定してしまったとは思わないようにしてください。

 幼年時代のこの時期、子どもは自分自身のセクシャリティにも好奇心を持つようになりますが、もちろんまだそれを言い表すことばを持っていません。この時期で子どもは、自分の性器がある種の気持ちよさを生み出すことを発見することもあります。自分の性器を触ったり遊んだりすることは、この時期の発達段階では普通に見られ、自然で健全なことです。自分自身の性器に興味を持ったからといって、それを阻止したり叱ったりしてはいけません。もちろん、外ではあまりそういうことは言ってはいけないという、内と外の違いも学ばなければなりません。お子さんが性器いじりをしたそうなときは、静かな時でひとりなら大丈夫だよと説明してあげて下さい。それと同時に、もし他の子や誰かが性器を触ってくるようなことがあったら、必ず親に言わなきゃならないということも知っておいてもらうようにしてください。性分化疾患を持った子どもは、性器の検査をたくさん受けていきますので、嫌なのに性器を触られるということから自分自身を守るということを学んでいくようにする必要があります。嫌だ!と思うような触り方をしてくる人がいたら、必ず親に言うように、お子さんに時々話しておいてあげて下さい。決してお子さんを怖がらせるのではなく、けれども、自分にとっての「プライベートな大切なところ」は自分自身のものであり、誰か他の人のものではなく、自分自身のためにあるのだということを、お子さんに分かってもらうようにしてください。