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nexdsd JAPAN 性分化疾患:家族のためのハンドブック

Consortium on the Management of DSDが発行している「性分化疾患:家族のためのハンドブック」の翻訳など、性に関する様々な体の発達状態を持つ人々と家族の方々をサポートできる情報をお送りします。

(6−3)6歳から11歳頃まで(小学校の頃)

  
 小学校時代を過ごす中で、皆さんのお子さんも、他の人への自分の性的な気持ちに気づいていかれるでしょう。そういう流れの中で、お子さんはご自身の性的指向を理解しはじめます。つまり、お子さんが娘さんであれば、男の子を好きになるか、女の子を好きになるか、それとも両方を好きになるのか分かるようになってくるのです。子どもは自分が男の子を好きになるのか、女の子を好きになるのか、両方を好きになるのか、自分で選ぶことはできません。子どもは自分の中のこのような気持ちに、少しずつ少しずつ気がついていきます。男の子であれば女の子を好きになる(女の子であれば男の子を好きになる)子どもでも、自分自身の性的な気持ちには最初は戸惑うことがほとんどです。同性の子が好きだったり、両方を好きになる子どもは更に戸惑われることでしょう。自分の周りから、それはダメだよというメッセージを受けるわけですから。

 自分が同性の人を好きであったり、分け隔てなくどちらの性別の人も好きであるということを、もしお子さんが嫌だったり当惑されていたりすると、学校での家族も参加する行事やスポーツなどに、人並みはずれてがんばることで、皆さんに対して「埋め合わせ」をしようとするかもしれません。皆さんがそう望むだろうと思い込んで、お医者さんで治療しようとされるということもあるかもしれません。なぜならそういう子どもは、同じ性別の人を好きになったり、両方ともを好きになったりする自分に罪悪感を感じているからです。この時期に皆さんのお子さんが、これからの長い人生に関わる治療(二次性徴をうながすためのホルモン療法や、性器の手術を受けると決めること)決心されるところであれば、治療でからだを変える決断は、お子さん自身がお子さん自身のためにすることが、非常に重要です。ただ単に親御さんが安心するためにお子さんを誘導したり、親御さんが安心できる型にお子さんをはめようとしてはいけません。お子さんが治療を希望する理由が全然はっきりしない場合は、プロのメンタルヘルスサポート(病院の臨床心理士など)にご相談いただくのもいいかもしれません。そうすれば、お子さんは自分の気持ちや、治療を受けたい理由を、こころの中で整理できるでしょう。「お父さんお母さんたちは、そのままのおまえを愛しているし受け入れている。私たちのためにからだを変えようと思ってるのなら、それは必要ないよ」ということを、お子さんに知ってもらうようにしてください。

 性について話をしはじめるのは、子育ての中でも一番難しいことのひとつでしょう。ほとんどの親御さんにとって、やりにくいことだと思います。セクシャリティについてお子さんと話すのは難しいことですが、それを乗り越えることで、お子さんは自分自身を大丈夫だと思えるようになりますし、お子さんが自分自身について良い選択をする助けにもなります。性分化疾患を持つ方たちのお話では、自分のからだのことを話し合って、自分がどうしたいかちゃんと考えてはっきりさせたいと思ってもそうできなかったので、自分の性のことについていい加減なことになってしまうことがあったそうです。たとえば、生殖能力を持てないと知った、性分化疾患を持つ女性の中には、だったらコンドームを使う必要がないと、性交渉で性感染症になってしまったという人もいらっしゃいます。セクシャリティについては、こんなふうに話をはじめてみられてはいかがでしょうか?

   
親:  「あなたが成長したら、性もね、成長していく。性のことって、話しにくいよね。でも、分からないこと聞いてくれれば、お母さんも答えられるかもしれない。性のことで、なにか困ってることある?不安に思ってることとか…。」
   

 性のことについて話そうとしても、やはり大きく戸惑いをお感じのようであれば、皆さんが信頼できる誠実で支えになってくれそうな人と、お子さんが話をできるようにするというのもひとつの手です。お子さんが親しくしている看護師さんやお医者さん、他の家族メンバーや名付け親の方などがいいかもしれません。その場合は、性分化疾患について、これはちゃんと自分たちからお子さんに話したいと思っていることを、その人たちがたまたま話してしまうということがないように、事前に親子でどこまで話をしているか知っておいてもらうようにしてください。

 お子さんの成長に合わせて、自分のからだは自分自身のものであり、自分が嫌だと思う、安全じゃないと思うようなふうに、自分のからだを扱われてはならないのだということを、くり返しお子さんに理解してもらうようにしてください。嫌だなと思ったり、安全じゃないと思う、あるいは暴力的だと思ったら、必ず皆さんに話せるよう、お子さんにはたらきかけるのです。病院の性器の検査でも、自分が嫌だなと思ったことを皆さんに話せるようになれば、皆さんからお医者さんに、それはストップしてもらうようお願いすることもできます。お子さんには、自分自身のセクシャリティを自分自身が大切にできると思え、自分の人生を幸せで健やかに感じられるようにしてあげてください。