nexdsd JAPAN 性分化疾患情報サイト

体の性の様々な発達(性分化疾患)に関する情報を発信します。

(8−1)青年期(11歳から18歳ごろまで)

ここでご紹介しているハンドブックはアメリカで作成されたものです。欧米と日本とでは文化差や、子どもの発達・成熟には大きな違いがあります。必ずしも、ここに書いてあることが正解ということにはなりません。欧米でも指摘されていますが、最も大切なのはお子さん個々の理解力の発達やご家族の状況です。話すか話さないかということも含めて、その答えはそれぞれのご家庭によって異なります。その上で読んでいただければと思います。

  
 青年期は、人生の中でも、肉体的にも感情的にも知的にも、大きな成長を遂げる時期です。青年期前半では、子どもは、子どもっぽい考えを後にして、より大人の思考をするようになっていきます。抽象的なことや人間関係、自分の人生について考えるようになっていくのです。この変化は、あるときに突然起きるものではありません。成長した考えをする能力は行きつ戻りつ育っていくのですが、このために子ども自身やその周囲の人たちも巻き込んで、大きな混乱を起こすことがあります。

 思春期からはじまる肉体的変化は、青年期の子どもにとって混乱と不安の元になることがあります。人生の中でのこの段階、お子さんには、メンタルヘルスの専門家なども含めた医療関係者や家族からの特段の支援が必要になることもあるでしょう。お子さんを、成人した性分化疾患を持つ人に会ってもらうのも助けになるでしょう。そういう機会があれば、お子さんは、同じような状況にある人が実際に青年期を「乗り切り」、なんとかやり遂げたことを知ることができるでしょう。

 思春期にお子さんに起こる最初の肉体的変化は、お子さんにとっては不意を撃たれるようなものになることがあります。思春期に起きる変化について、お子さんと皆さんとで事前に勉強しておくことで、皆さんとお子さんとで心の準備をしておくことが大切でしょう。小さい頃から、こころの性別やセクシャリティ、お子さんの性分化疾患のことを話すようにしていたなら、思春期や二次性徴について話し合うのは、まだやりやすいでしょう。もしそうじゃなかったら、今こそ本当に話をはじめるときでしょう。お子さんは、自分のからだに起こっていることをちゃんと理解し、自分は大丈夫なんだとはっきりさせるのに、皆さんの助けを求めていることでしょう。このハンドブックの最後のほうには、思春期の肉体の変化や、ボディイメージ、好きな人との付き合い、セクシャリティについてのおすすめの本をご紹介しています。

 青年期の心理的発達は、からだの発達よりも大きなものになります。お子さんはこの時期、気分の大きな変動や感情的爆発をいつもよりしがちです。どの子どもでも、この時期には肉体的変化と精神的変化と役割変化を一挙に体験せねばならず、それはどの子どもにとっても難しいものです。もしお子さんの気分の動きが激しくても、それは青年期には当たり前のものなのだと覚えておいてください。難しいかもしれませんが、お子さんとひざを突き合わせて話せる機会をできるだけとり、息子さんや娘さんの思い、興味、関心ごとを一緒に話せるようなチャンスを作ってみてください。そして、もし話ができたら、お子さんの話は真剣に受け止めてあげてください。ただ耳を傾けるようにして、お子さんの言うことに一々文句をつけないようにしましょう。話すたびに文句を言われるようなら、もう話はしたくないと思われてしまいます。

 青年期の子どもの多くは、自意識が強く、自分に批判的になり、からだの見かけをとても気にするようになります。多くは、自分は太りすぎなんじゃないかとか、服がきれいかそうじゃないかとかを心配するのです。男の子よりも、女の子の方がそういう見栄えを気にすると思われがちですが、実は青年期では、男の子もその多くが見栄えを気にしています。男の子も女の子も同等に考えてあげてみてください。私たちは女の子にはしょっちゅう見栄えの話をしますが、男の子にはこういう類のことはあまり聞かないってこと、ありますよね。親御さん皆さんも、「正しく見える」ようにしなくちゃならないという社会的プレッシャーは理解できるとお子さんに話をされて、そういうプレッシャーを感じているか聞いてみてもいいでしょう。こういうことをお子さんと一緒に考える機会があると、お子さんの自尊心(自分が自分自身のことをどう感じるかということ)について、もっと話し合えるようにもなるでしょう。10代の子ども全員がこういう課題で悩むというわけではありません。でも、もしこういうことで悩んでいて、それが自分ではどうしようもないほど大きいものであれば、息子さんや娘さんを支える方法はたくさんあります。プロのカウンセラーやセラピストによる支援が効果的であることが多いです。

 青年期になると子どもは、肉体的にも精神的にも、より一層おとなになっていく自分を知っていきます。彼らは両親からの自立を望むようになっていきます。この年代の子どもが親離れをしはじめ、自立と自分自身のアイデンティティを求めるのは普通のことです。この時期の最初の頃には、外で家族と一緒にいるところを見られるのを嫌がるのも普通のことです。家の中でも、もっと自分ひとりでいられる時間とスペースが欲しいと言ってくることもあるでしょう。以前にはなかった「見ないで!入らないで!」という札が、子どもの部屋のドアにかかっているなんてこともあるかもしれません。こういう時期に、お子さんと繊細な話題を話そうとしても、こころの性別やセクシャリティについて、突然お子さんが話すのをためらうようになるということがあっても、別に驚くようなことではありません。青年期の間は、友達や仲間のグループが何よりも重要なものになることが多いです。仲間のグループに受け入れられているかどうかが、子どもにはとても重大なことになるのです。この時期の子どもは、グループからのけ者にされないために、仲間に受け入れてもらえるよう行動しようとします。そのプレッシャーは強力なものです。

 この時期の子ども全員が友達を持つわけではありませんし、仲間から受け入れられているとも限りません。青年期は、時に、ひとりを仲間はずれにしたり、孤立させたり、からかったりするということがあります。こういう残酷な行動はこの時期には稀なことではありませんが、孤立させられた子どもにとっては、とても心痛むものとなります。もしお子さんにこういうことがあったら、「いじめは絶対になくす」というルールで、学校と相談するようにしてください。(学校はいじめを絶対に容認しないというルールを示してもらうのです)。もしお子さんが仲間はずれになっているようなら、皆さんにもできることがあります。特に子どもが傷ついているときには、お子さんの気持ちに耳を傾けることが重要です。ちゃんと聞いているよと態度で示してあげましょう。お子さんの表情から目をそらさず、非難するように腕を組まずに、じっと聞ける姿勢で耳を傾けるのです。お子さんが言ったことを時々繰り返して、ちゃんと聞いているよという態度を示しましょう。お子さんが言ったことを、そんな気持ちたいしたことないと「言いくるめる」のではなく、お子さんが言ったことをそのまま返してあげてください。そうすれば、聞いてもらってるんだ、真剣に自分の気持ちを取り合ってくれてるんだと、お子さんに伝わります。

 性分化疾患を持って生まれたから、受け入れられないなんてことはありませんが、そういう状態で生まれた子どもは平均の状態とは異なり、私たちの社会では、そういう平均とは異なる人々が隅に追いやられるようなことが多くあります。お子さんも、自分の周りで見たり聞いたりすることから、こういうことを知っていかれるでしょう。たとえば、性のことで平均とは違う人々への中傷や、障害を持って生まれた人への心無いことばなど、そういうことをお子さんも見たり聞いたりされていくと思います。ここでも、お子さんの気持ちに十分に耳を傾けてください。そして、もし誰かがお子さんや、お子さんのような人に心無いことばを言っていたら、それは、お子さんのような人はダメだと勝手に思っているその人たちが不公平な人なのだ、「あなたは、性分化疾患のことだけじゃない、もっといろいろな側面を持った一人の人なのだ」ということを、お子さんに教えてあげてください。お子さんが、自分は何者なのか、さまざまな側面からできたひとりの人間として(新聞部のメンバーであるということや、劇団グループの一員なんだということ、弟や妹の優しい兄や姉であるということなど、そういうものを全部含めて)、自分自身を理解できるように皆さんがお子さんを支えられたら、いじめの影響は少なくなるでしょう。お子さんが参加できて、楽しいと思えるような、満足を得られるような、お子さんがお子さん自身として受け入れられていると感じられるような校外活動を、お子さんと一緒に探すのもいいでしょう。学校でいじめを受けている子どもは、地方の子ども劇団や趣味のグループ、スポーツグループなどの学外の活動で、肯定的な体験を積んでいけば、さまざまなことを体験できるだけでなく、性分化疾患のことに囚われてしまうのではない、「もっと大きな視点」で自分自身が何者なのか学んでいけるようになるでしょう。