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nexdsd JAPAN 性分化疾患:家族のためのハンドブック

Consortium on the Management of DSDが発行している「性分化疾患:家族のためのハンドブック」の翻訳など、性に関する様々な体の発達状態を持つ人々と家族の方々をサポートできる情報をお送りします。

(1)最初に

ここでご紹介しているハンドブックはアメリカで作成されたものです。欧米と日本とでは文化差や、子どもの発達・成熟には大きな違いがあります。必ずしも、ここに書いてあることが正解ということにはなりません。欧米でも指摘されていますが、最も大切なのはお子さん個々の理解力の発達やご家族の状況です。お子さんに話すか話さないか、周りの人に話すか話さないかということも含めて、その答えはそれぞれのご家庭によって異なります。ただ、一番重要なのはお子さんの思いでしょう。プライヴェートも含む大切な体のことです。勝手に話回る人もいるかもしれません。ですので話す必要がある場合、お子さんとよく話し合った上で、誰に話すのかということをお考えいただければと思います。その上でお読みください。

 もし皆さんが、お子さんの性分化疾患のことを誰にも話したくないとお思いであれば、おそらく皆さんは重圧と孤独をお感じだと思います。けれども、そのことを話すことで、皆さんは孤独ではないと感じられるでしょう。それに、たとえば保育園や幼稚園にお子さんを預ける時や、新しいお医者さんのところに行く時など、どうしてもお子さんの性分化疾患のことを話さねばならないという時もあるでしょう。この章では、お子さんの性分化疾患のことをそういう人に話ができる方法をお伝えしたいと思います。ただ、ここでお伝えするのは、暗記して大声で読み上げる「せりふ」ではありません。どう話せばいいのか皆さんがお困りの時のちょっとしたヒントになればと思っています。

 皆さんと全く同じように、お子さんご自身も自分の性分化疾患のことについてはプライバシーを守りたいとお思いにもなるでしょう。成長段階に合わせて、周りの人がどれくらいお子さんのことを知っておくのか、できるだけお子さん自身に決めてもらうことが大切になるでしょう。たとえば、学校の先生や親しい友達の親御さんに、皆さんから話しておいてもらいたいかどうか、お子さんと話し合っておくのです。大切なのは、自分のからだやこれまでの自分のことを、誰がどれほど知っているか、知らせるのか、お子さん自身が決め、分かるようにしておくことです。他の人に話すことになるときには、お子さんの希望に耳を傾け、その希望を尊重する必要があるでしょう。

 私たちが、大人になった性分化疾患を持つ方や親御さんたちから学んだことは、こうです。皆さんが誰かにお子さんの性分化疾患のことを話されるときは、正直さこそが一番大事なことだと。大切に正直に話をしているのだと相手に伝わることで、皆さんがこのことに後ろめたさを感じていないのだ ―実際後ろめたく思う必要なんてないのですから― ということも相手に(そして皆さんやお子さん自身にも)伝わることになります。そうすれば、その相手の方も、皆さんを支援し、信頼関係を結ぶことができるようになるのです。お子さんの性分化疾患についてお話された後は、「なにか分からないことや心配なことはありますか?お答えできるようであれば、お答えしますので」と最後に言っておくのがいいでしょう。次の日にもう一度その人に、「昨日お話ししたことで分からないこととかがあれば、何でも聞いてくださいね」とフォローしておくのもいいと思います。覚えておいていただきたいのは、後ろめたさや偏見は、恐れと無知から来るものだということです。相手の方の混乱を解消していくことで、恐れや無知を無くしていけるのです。