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nexdsd JAPAN 性分化疾患:家族のためのハンドブック

Consortium on the Management of DSDが発行している「性分化疾患:家族のためのハンドブック」の翻訳など、性に関する様々な体の発達状態を持つ人々と家族の方々をサポートできる情報をお送りします。

(2)友人や家族に何を話すか?

ここでご紹介しているハンドブックはアメリカで作成されたものです。欧米と日本とでは文化差や、子どもの発達・成熟には大きな違いがあります。必ずしも、ここに書いてあることが正解ということにはなりません。欧米でも指摘されていますが、最も大切なのはお子さん個々の理解力の発達やご家族の状況です。お子さんに話すか話さないか、周りの人に話すか話さないかということも含めて、その答えはそれぞれのご家庭によって異なります。ただ、一番重要なのはお子さんの思いでしょう。プライヴェートも含む大切な体のことです。勝手に話回る人もいるかもしれません。ですので話す必要がある場合、お子さんとよく話し合った上で、誰に話すのかということをお考えいただければと思います。その上でお読みください。

  
 お子さんが診断された時から、皆さんは、近しい家族やご友人に、お子さんの性分化疾患について正直でいなければなりません。性分化疾患のことを話すのはとても難しいことです。特にちょうど初めてお子さんの性分化疾患のことを皆さんが知ったときには。性器の変異について話をするというのは、一般の人達には、性交渉の話だという風に思われがちですし、性のことについて話をするのは、あまり気持ちのいいものとは思われません。親しい友人や家族にお子さんの性分化疾患のことを初めて説明する時は、戸惑いと恐れを感じられるかもしれませんが、性分化疾患を持つ他の子どものご両親は、話をするたびに少しずつ楽になっていったとおっしゃいます。皆さんが一番信頼できる人からお話されていくのがいいでしょう。

 お子さんの性分化疾患の説明をする時、家族や友人の中にはショックを受けて「分からない。お子さんは男の子?女の子?」というように言ってくる方もいらっしゃるでしょう。こういう質問については、「赤ちゃんは時々、平均的な男性・女性ではない体の状態で生まれてくることがあるんです。こういうことは1,500人生まれる中で1人くらい起きる変異なんです。娘のスーの場合だと、スーは女の子として育つはずだって、検査で判明したんです。スーのような体の状態の子どものほとんどは、女の子に沿って行く傾向があるので」とお話されるのが良いと思います。それを聞いたご家族が「スーが女の子じゃないって分かったらどうなる?自分は男だと自分で決めたら?」と聞いてくるかもしれません。これには、性分化疾患を持っていなくても、どんな子どもでも性の変更をすることは少ないけどありうる、でもかなり稀なことだということを説明されるのがいいでしょう。万が一女の子だということがお子さんには嫌だということになったら、自分たちは子どもが感じる性別への変更をすることを手伝ってやりたいと思っていると、付け加えてもいいかもしれません。自分たちはスーを彼女そのままに愛している、みんなにもそうして欲しいと言うのもいいでしょう。「この娘が私たちの人生で特別なのは、性分化疾患のことじゃない。この子はおばあちゃんに似た目をしているし、笑った顔がとっても素敵で、兄弟姉妹にも愛情を降り注いでいる、そんなところが私たちにとって特別なんだ」と。

 皆さんもこのように、お子さんは平均とは違うかもしれないけど、自分の娘・息子は他の子どもと同じように特別で可愛いのだということを説明されているかもしれません。もしお子さんが他の健康問題を抱えているなら(性分化疾患を持つ子どもの中にはそういうお子さんがいらっしゃいます)、そのことも説明してください。そして、自分たちがこの子を愛情を持って、心を開いて育てていくのを手伝って欲しいと、ご家族やご友人にお話ししてください。「この子の性分化疾患のことで、落ち込んだり心配になったりするかもしれない。他の人がこの子を受け入れてくれないんじゃないかってこともね。でも、大好きな人があなたを愛してくれて受け入れてくれたら、それが力になっていたはずだと思う。あなたの子どもと同じようにね」。ご家族やご友人には、このようにお話されてもいいでしょう。

 ご家族やご友人にお子さんの性分化疾患について正直に話すことで、お子さんの性分化疾患のことを恐ろしい家族の秘密や悲劇的なミステリーにしてしまわず、「当たり前のこと」にしていけるのです。もし息子さんが、自分の性分化疾患についての情報を理解できる十分な年齢になったら、彼が生まれてからの性分化疾患のことについて、ご両親の皆さんから話を聞いていく時期になります。皆さんが気持ちを開いて話しをするということをしていけば、息子さんは誰か彼が愛する人に、自分が性分化疾患を持っていることを話すことができるのだと、もう自分でもわかっていることでしょう。