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nexdsd JAPAN 性分化疾患:家族のためのハンドブック

Consortium on the Management of DSDが発行している「性分化疾患:家族のためのハンドブック」の翻訳など、性に関する様々な体の発達状態を持つ人々と家族の方々をサポートできる情報をお送りします。

(4)先生や保育士さんにどのように話すか?そのヒント

ここでご紹介しているハンドブックはアメリカで作成されたものです。欧米と日本とでは文化差や、子どもの発達・成熟には大きな違いがあります。必ずしも、ここに書いてあることが正解ということにはなりません。欧米でも指摘されていますが、最も大切なのはお子さん個々の理解力の発達やご家族の状況です。お子さんに話すか話さないか、周りの人に話すか話さないかということも含めて、その答えはそれぞれのご家庭によって異なります。ただ、一番重要なのはお子さんの思いでしょう。プライヴェートも含む大切な体のことです。勝手に話回る人もいるかもしれません。ですので話す必要がある場合、お子さんとよく話し合った上で、誰に話すのかということをお考えいただければと思います。その上でお読みください。


  
 お子さんの人生の様々な場面で、皆さんはお子さんの性分化疾患について、日常お子さんに接する人に話をしなければいけな時があるかもしれません。お子さんの幼稚園や保育園、学校の先生と性分化疾患について話をすることで、お子さんの感情や身体的な安全を保つことになるでしょう。どれほどの情報を話すのか、お子さんになにか特別のニーズがあるかどうか、皆さんとお子さんが、どれほどの情報を知ってもらっても安心でいられるかどうか、それはお子さんの年齢によって違ってきます。覚えておいていただきたいのは、お子さんが成長するに連れて、どれくらいの人ならば知られてもいいのか、できるだけ子どもに決めてもらうようにしていくことが大事だということです。お子さんが自分の体やこれまでの人生についての話を、周りに対してお子さんがコントロールできる状態であることが重要です。ですので、誰かに話すことになる時には、お子さんの望みをよく聞き、尊重することが必要でしょう。

 もしお子さんの性器が平均と違うように見えたり、手術の跡があるという場合、お子さんが幼稚園や保育園、小学校では、保育士さんや先生方には基本的な情報はいくつか伝えておくことがとても大切です。お子さんのおむつや服を変える時に、保育士さんや先生方が見るものを事前に理解しておいてもらうのです。皆さんも、保育士さんや先生方が、心の準備なしで怖がったり動揺したりする環境に、子どもをおいておきたいとは思われないはずです。

 下のふたつの文章は、保育士さんや先生と話を始めるときの例です。ひとつめの文章については、子どものトイレを手伝ってもらう時に子どもの性器を見るかもしれない保育士さんや先生に、もう少し情報を伝えることにする親御さんもいらっしゃいます。*1

   
親から保育士さんや先生に: 「息子のお風呂の手伝いをしていただくとき、ジェロームの性器は他の男の子と少し違うということに気づかれるかもしれません。もしなにか疑問に思われたら、疑問に思うのが当たり前だと思いますので、気になさらずに私たちに聞いてください。質問いただければお答えしたいと思いますし、必要なら資料もお渡しします。何か今聞いておきたいことはありますか?」
   

 何か質問があるかどうか、次の日にもう一度たずねて見られることをお勧めします。こうすることで保育士さんには、皆さんとこのことを話しても大丈夫なんだということを分かってもらえます。

 子どもが大きくなり、自分でお風呂に入れるようになるに連れ、子どもの特別なニーズについて先生が知っておかねばならないことを伝えるだけにしておきたいと思われるご両親もいらっしゃいます。子どもが個人用のお風呂にしたいと思う場合は、こういう風に言っておきたいと思われるかもしれません。

  
親から小学校の先生に: 「ジェロームにはちょっと事情があって、個人用のお風呂を使わせていただきたいんです。先生のほうでご調整いただいて、可能かどうかお返事いただけませんか?」
  

 皆さんが、お子さんの性分化疾患についてはあまり詳しく伝えたくないと思われて、上記のようにお話される場合、ほとんどの先生方はそれ以上はお聞きにならないでしょう。もし誰か先生が、お子さんの事情はどんなものなのかもっと知らせてもらえないかと聞いてこられる場合、もし皆さんがあまり話したくないと思われるなら、息子さんには、個人用のお風呂を必要とするような他のこどもとの生まれつきの体の違いがあるのだということをお伝えになるだけで良いと思います。お医者さんの意見書が必要になることもあるかもしれません。その場合は、学校の先生に話したのと同じことを書いた意見書をお医者さんに作ってもらうようにしてください。

 学校の先生方が本当に知っておく必要がある情報は、(もしあるのなら)娘さんが学校にいる時に必要とする特別な配慮がどのようなものかということだけです。ご両親の中には、子どもの性分化疾患についての具体的な情報を伝えることにした方もいますし、子どもへの特別なニーズを依頼されただけの方もいます。皆さんやお子さんにとって良いと思われることを決めていってください。ただし、大事なのは、娘さんが成長するに連れ、自分の先生が事前に知っていることを、本人に伝えるようにすることです。それは、ご両親以外の誰かから、重要な情報が伝えられてしまうような状況にしないためです。

 高校は、ご両親の多くが、学校の先生や養護教諭に、性分化疾患について何を伝えるのか、子ども自身に決めるようにされる時期です。息子さんが自分の性分化疾患について具体的な情報を誰かに伝えることに大きく抵抗があるなら、本人のその望みを尊重されることがベストです。高校は、多くの子どもが、体育の時間の前のロッカールームで、同年代の友人を前に着替えをするかどうかという問題に直面する時です。多くの子どもが居心地の悪い思いをしているということを大人も認識し始めていますので、ロッカールームの使用は今は少なくなりつつありますが、今でも使っている学校もあります。もしお子さんの学校がロッカールームを使っているのであれば、個人用に変更してもらう方が、お子さんは安心かもしれません。この場合は、体育の先生に、着替えには個室を使わせてもらうニーズがあることを伝えてください。もし必要なら、お医者さんからの、個室を必要とする旨の簡単な意見書のコピーを用意しておくといいかもしれません。

 多くのご両親は、子どもの保育士さんと話をするように努めていくと、話すこと自体が楽になっていったとおっしゃいます。お子さんが通う保育園や学校との交渉については、これまで同じ経験をしてきた性分化疾患を持つ歳上の子どものご両親に相談してみてください。学校のスクールカウンセラーソーシャルワーカー養護教諭に相談されるのもいいでしょう。
  

*1:訳者注:幼稚園や保育園では先生や保育士さんがおむつを変える時があります。また、日本ではお風呂はないかもしれませんが、着替えやトイレ、プールの時にどうするか?という問題はあると思います。