nexdsd JAPAN 性分化疾患情報サイト

体の性の様々な発達(性分化疾患)に関する情報を発信します。

こころの性とからだの性についての質問(2)

Q:私の子どもは同性愛者になるのでしょうか?

A:なぜある人が同性の人を好きになり、ある人は異性の人を好きになり、ある人は両方を好きになるのか、その理由は分かりません。けれども、誰も自分の性的指向を変えられないということだけは分かっています。そして、性的指向にかかわらず、誰もが幸せで充実した人生を送れるということも。皆さんのお子さんは、いつまでもあなたのお子さんですし、私たちは、皆さんがいつもお子さんを愛し、支えていかれることを望んでいます。もし息子さんや娘さんが同じ性別の人を好きだということが分かった場合、私たちが生きる社会に存在する偏見に対して、皆さんの愛情と理解、支えがより一層重要になってきます。

 お子さんが性分化疾患を持っているからといって、すぐさま、息子さんや娘さんが同じ性別の人に愛情を感じるようになるというわけではありません。研究者の中には、性分化疾患のあるタイプでは、同性の人を好きになる傾向があると考えている人もいますが、現実的には、どんな子どもであれ、その子の性的指向をはっきりと予想することはできないのです。それは性器の問題なのか遺伝子の問題なのか、何か別の問題なのか分かりませんし、息子さんや娘さんが将来、異性の人を愛するようになるのか、同性の人を愛するようになるのか、それとも両方ともなのか、はっきりとは分かりません。

 同性の人を好きになる人々の大多数は、かなり初期から、自分は同性の人が好きだということに気がついていたということを知っておくのは役に立つでしょう。そういう人のほとんどは、自分の親(あるいは別の大人)が、自分を同性が好きに「なるようにしたのだ」なんて考えません。親が仕向けていけば、子どもは特定の性的指向を持つようになるなんて思っている人もいますが、私たちは、男の子に人形を与えれば同性の人を好きに「なるように」できるとか、ましてや、男の子に無理やりフットボールをさせれば、そのまま異性の人を好きに「なるように」できるとは思えません。

 事実、たいへん多くの科学的研究が、同性を好きになる人と異性を好きになる人の間に、なにか育て方の違いを見つけようとしましたが、何も見つからないままに終わっています。そして、とても重要なことなのですが、たとえ、その人が宗教的理由や家族から受け入れられないという理由から、自分の愛情が向かう方向を「変えたい」と思ったとしても、どんな治療も、どんな無理強いも、性的指向を変えることはできないということが、研究で示唆されています。私たちは、性的指向を変える目的で行われた治療によって心を損なわれた人々を知っています。彼らは、自分が同性の人を好きになるということで家族から受け入れられないという思いに一番傷ついているのです。

 更に、同性の人を好きになる人々には、自分の愛情に正直であることで家族から非難されて、傷つき、家族から遠ざけられたように感じた人もいるということを、私たちは知っています。こうなると、子どもにも親子関係にもたくさんの問題を抱えることになります。自分の親に満たされないものを感じる幼い子どもや十代の子どもは、その満たされなさを「埋めあわせする」ために自分自身を傷つけるようなことをすることがありますし、後に親に怒りを持つようになるかもしれません。同性の人を好きになる人々は、家族からの拒絶を恐れていたり、恥ずかしくて家族に打ち明けられない人が多いということも私たちは知っています。そういう人達は、家族からも自分自身からも遠ざかってしまうか、家族から、自分の大事な愛情を持った関係を隠すことになるかもしれません。(もし皆さんが、10代や若者の時、自分のボーイフレンドやガールフレンドのことや、付き合っていく喜びや問題、婚約・結婚のことを、両親や家族、友達に何も話せないとしたら、どう思われますか?)

 性分化疾患を持っている人の中には、自分が同性の人を好きになるからダメなのだという理由だけで、治療(性ホルモン注射や性器の手術)を受けようとされる方が時々いらっしゃいます。似たようやことでは、自分が同性の人を好きになるということを両親に「埋め合わせ」しようと、学校の様々なこと(スポーツや進級など)で一番を取ろうとがんばりすぎるという人もいます。彼らは、そうすることで、自分の両親との関係をいいものにしたいと願っているのです。

 もし、お子さんが同じ性別の人が好きだと分かった場合、息子さんや娘さんが同じ性別の人を好きになる理由を探そうとするのではなく、ただそれを受け入れてあげるのが一番大事だと私たちは思います。私たちは、自分が完全に受け入れられないことには、何かの説明を求めがちです。何かの説明を求めるのは、何か、誰かの責任にしたいという思いからであることがよくあります。変えようがないこと、誰も選びようがないことで、皆さんご自身やお子さんを責めることは、ただただ深い傷を与えてしまうだけになってしまいます。

 異性の人を愛する人と同じように、同性の人を好きになる人も、健やかで、愛し愛される人になることができます。専門の分野や社会的に成功していくこともできます。親になることも(普通の子育てや養子縁組を通じてそうされることがあるのです)。お子さんが同じ性別の人を好きになろうとなるまいと、息子さんや娘さんは、生涯を共にするあなたのお子さんなのです。子どもの愛情が向かう方向に関係なく、お子さんを受け入れていくことは、親子の愛情関係を傷つけないことを意味します。お子さんが同じ性別の人を好きになることを受け入れるのは、たやすいことではないことがあると、私たちは知っています。でも、もしお子さんが同じ性別の人が好きであっても、皆さんの他のお子さんと同じように、息子さんや娘さんを、受け入れ、愛してあげていただきたいのです。