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nexdsd JAPAN 性分化疾患:家族のためのハンドブック

Consortium on the Management of DSDが発行している「性分化疾患:家族のためのハンドブック」の翻訳など、性に関する様々な体の発達状態を持つ人々と家族の方々をサポートできる情報をお送りします。

性分化疾患について(1)

 この章では、性分化疾患を持つお子さんの親として、皆さんに役立つ資料をお送りします。お子さんの性分化疾患のことや、ご家族皆さんの経験を他の人に話す時、この章をコピーして、病院やお子さんの学校、ご親戚などに話す時などに、ご利用いただければと思います。どうぞ自由に使っていただければと思います。

性分化疾患とは何ですか?

 私たちが人の「性別」について話す時、通常私たちは、生物学的(身体的)観点から、その人が男性か女性かということを話しています。皆さんの「性別」を構成するものには、「性染色体」(詳しくは少し後でお話します)、「性染色体」以外の染色体上のいくつかの遺伝子、それに卵巣もしくは精巣、膣、クリトリス、ペニス、尿道などの性に関わる体の器官などがあります。性ホルモンも、皆さんの性別を形作るもうひとつの要素です。性ホルモンは、皆さんの体の血液の中で流れる科学物質でできたメッセンジャーです。(テストステロンやエストロゲンが、代表的な性ホルモンです)。性ホルモンは皆さんのからだが性的に成長するのに役立ちます。たとえば、皆さんが生まれる前、性ホルモンは皆さんの性器が発達するのに関わりますし、思春期には、子どもの体から男性、もしくは女性の体に変化していくのに関わってくるのです。

 私たちが母親のお腹の中に宿る時から死ぬ時まで、私たちの体は性発達の多くのステップを踏んでいくことになります。たとえば思春期、皆さんは性的に成熟し、子どもの体から、性的に成熟した男性、もしくは女性の体へと発達していきます。しかし、思春期は、更年期と同じように、明らかな性発達の段階のひとつに過ぎません。実は思春期以外にも、通常ははっきりと見た目にはわかりませんが、もっと多くの発達段階があるのです。性発達は、まさに受胎の時からはじまり、子宮の中にいる時にもそれは続き、早期幼児期、青年期、成人期、老年期にも性発達の段階は続くのです。

 「性分化」とは、男の子や女の子、男性や女性が、男・女それぞれ異なるの体の性の発達をしていくことを言います。たとえば受胎後数週間の間に、子宮の中では胎芽*1が、「性腺原基」を形成していきます。更に数週間後、この性腺原基は通常、精巣もしくは卵巣のどちらかひとつになっていきます。ですのでこれも体の性の発達のひとつの段階、つまり生まれるずっと前、性腺原基が卵巣か精巣に分化していく段階なのです。

 外性器(ペニスやクリトリス、陰嚢や陰唇など)は、人生の様々な段階で分化していきます。性分化疾患を持つ子どもたちは、通常とは違った見た目の外性器を持っていることもあります。ただし、性分化疾患を持つ子どもたち全員が、通常とは違った見た目の外性器を持っているわけではありませんし、平均とは違った見た目の外性器を持っている人が皆、性分化疾患を持っているというわけではありません。(「標準」「平均」とは、統計上の真ん中でしかありません)。

 性分化の最初の段階は、まさに受精の時に起きていると言えます。卵子と精子はそれぞれ23本の染色体(遺伝子を入れた、たいへん小さな物質)を持っています。遺伝子とは、人間の体を作り上げる設計図のようなものです。他の染色体と同じく、通常は母親の卵子がX染色体をひとつ提供し、父親の精子がX染色体もしくはY染色体をひとつ提供します。ですので、性分化は受精段階から始まっていると言えるのです。もし胎芽がXXの組み合わせとなるなら、胎芽は通常女の子に成長していきますし、XYの組み合わせとなるなら、男の子に成長していきます。

 体の性の発達は人生の中で大変多くの段階を踏んでいきます。ですので、ある人が、男の子や女の子の平均とは違った発達をしていく機会は多くあるということになります。体の性の発達が通常とは少し違った経路を取った場合、その状態が「性分化疾患」と呼ばれることがあるのです。つまり「性分化疾患」とは、体の性の発達の多くの様々なヴァリエーションについての名前なのです。このような体の状態はたいていの場合、「外性器男性化先天性副腎皮質過形成」や「アンドロゲン不応症」などの、それぞれの状態に応じた名前で呼ばれています。

*1:訳者注:精子と卵子が受精して赤ちゃんになっていく最初の段階のこと