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nexdsd JAPAN 性分化疾患:家族のためのハンドブック

Consortium on the Management of DSDが発行している「性分化疾患:家族のためのハンドブック」の翻訳など、性に関する様々な体の発達状態を持つ人々と家族の方々をサポートできる情報をお送りします。

ロズ・ヴァイスさんからの手紙

ロズ・ヴァイスさんからの手紙

親御さん皆さん


 今ちょうどこのハンドブックを読んでいらっしゃるのなら、とりあえず私に分かるのは、皆さん、性分化疾患を持っているお子さんがいらっしゃるのだろうということだけです。でも、私にははっきりと分かります。ご両親皆さんが体験されていることを。そして皆さんにお伝えしたいです。皆さんはひとりじゃない!って。


 夫と私は、子どもが生まれ、性分化疾患のことを聞いた時、香港に住んでいました。家族や友人から本当に遠く離れた地で、孤立感を深めるしかなかった私たちはどちらも、必要な検査をするために、アメリカに飛行機で戻る準備をする間しか、息をつける時はありませんでした。夫は全てを秘密にしておきたかったようですが、私は世界中に向けて叫びたい気持ちでした。赤ちゃんには既に女の子の名前を付けていましたので(性分化疾患のことが分かったのは3日後だったんです)、夫は赤ちゃんの性別を変更する可能性については考えたくなかったようです。夫は赤ん坊に美容外科手術をして*1、近しい家族にしかこのことを知らせたくないと思っていました。夫も私たちの娘のことでオロオロして、どうしていいか分からず、自分の感情に蓋をして、外科手術をすることについて私が疑問を持ったことや、子どもを女性として育てるのは間違いかもしれないという可能性については、聞きたがりませんでした。


 言うまでもないことですが、最初の1年は夫婦関係を試される時となりました。娘のクリトリスを美容外科手術させないことを私は決めたと言ったら、夫がどんな反応をするのか、最初の数ヶ月、私は怯えていました。きっと彼は怒るだろうと恐れていましたので、この事を夫に話したのは、手術当日の朝、手術同意書にサインをする時になりました。でも、びっくりしました!夫の方が、外科医よりも理解してくれたのです!性腺の切除には同意しましたが、これが正しいことであったかどうか、今でも分かりません。


 娘は今ほぼ4歳ですが、自分は男の子だと言う日が来るという確信を徐々に持っています。ですので、外性器の外科手術をせずに済んだことに感謝しています。夫は今でも、娘が少しずつ男の子のようになっていってることには否定的ですが、外性器の手術を勧めるお医者さんとの話し合いには、私の味方になってくれています。


 私の経験から、ご両親皆さんにはどんなアドヴァイスができるか?ご自分が感じる感情はどんなものでも大切にしてください。自分の直観を信じて、自分が正しくないと思うことを強要されないようにしてください。伴侶の方には、どれだけ強い悲しみ・嘆きを持っていらっしゃっていても、その悲しみに寄り添ってあげてください。私が夫と率直に話し合えるようになるのには、1年かかりました。私がサポートグループや調査に、彼も加わってもらいたいという思いもありますが、夫には、娘を愛してくれていること、娘には何が良いのか、私の直観を信頼してくれていることに感謝しています。


 私が皆さんにできる最大のアドヴァイスは、是非すぐにでもサポートグループに入ってくださいということです*2。サポートグループからは、お医者さんから教えられるよりも、たくさんのことを学びました。お子さんが持っていらっしゃる性分化疾患専門のサポートグループを探して、ご不安だと思いますが、是非ノックをしてみてください。同じような状況にあるご両親が、最も信頼できる友人になってくれると思います!


 今持っていらっしゃる辛い感情は、その内薄れていくということを覚えておいてください。お子さんが人とは違ってるんだなんてこと、完全に忘れられる日がきっと来ます。もちろん、お子さんが成長するにつれて、また違った感情や葛藤に出会い、直面していくことにもなるでしょう。でも、皆さんのお子さんへの愛情はより大きくなり、深呼吸して自分の思いを伝えていけば、辛い感情は過ぎ去っていくのだということがお分かりいただける日が来ると思います。


愛をこめて


ロズ・ヴァイス
   

*1:訳者注:欧米では当時、ペニスの小さな子どもは、染色体や内性器、ホルモンなどの指標や、統計的な医学的証拠如何にかかわらず、ペニスの大きさで男の子か女の子かを割り当て、ペニスの短い子どもはそれを外科手術で切除の上、女の子として育てるのが望ましいとされていました。ロズさんのお子さんの性別判定も、このような杜撰な割り当てに沿ったものでした。

*2:訳者注:日本でもいくつかの疾患ごとについて、親御さんの手作りによるサポートグループがあります。捨てアドレスで構いませんので、メールや返信欄(公開されません)にて私たちにお問い合わせください