nexdsd JAPAN 性分化疾患情報サイト

体の性の様々な発達(性分化疾患)に関する情報を発信します。

「性分化疾患:家族と医療従事者のためのガイドブック」翻訳スタッフを募集します。

 以前にも触れましたが、ボストンでのAIS-DSDカンファレンスにて、性分化疾患専門医療サービスであるSucceed ClinicのAmy Wisniewski医師から、医療関係者と家族のための最新の性分化疾患医療のガイドブック「Disorders of Sex Development, A Guide for Parents and Physicians」の翻訳許可を正式にいただきました。(英語原著の方は、Kindleで購入できます)。このガイドブックは、「家族のためのハンドブック」よりも少し詳しく、検査や医療の流れ、性分化疾患の種類・原因、子どものサポートの仕方、サポートの利用の仕方などが書かれています。

Disorders of Sex Development: A Guide for Parents and Physicians (A Johns Hopkins Press Health Book)

Disorders of Sex Development: A Guide for Parents and Physicians (A Johns Hopkins Press Health Book)

 「家族のためのハンドブック」は翻訳に6年ほどかかりましたが、今回はできるだけたくさんの方にご協力いただき、一挙に翻訳ができればと思っています。性分化疾患医療に興味があって勉強したいけれども、どこから手を付ければいいか分からない、正確な知識を得たいと思っている医療従事者の方や学生の皆さんを特に募集できればと思っています。専門知識や用語がたくさん出てきますが、ご家族にも読んでいただけるよう、比較的平易に書かれています。辞書片手になんとか日本語にできるという程度で構いません。

 手伝ってみたいと思う方は是非、nexdsd(at)gmail.comまでメールをください!

 各章の目次とサマリーを翻訳しましたので、参考にしていただければと思います。

   

第1章 性分化疾患の基礎

  • 性分化疾患とは何ですか?
  • 性分化疾患はどのように判明するのですか?
  • 子どもの性分化疾患の原因は何ですか?
  • 私の子どもは男の子なんですか?女の子なんですか?
  • 私の子どもは健康で幸せな人生を送れるのですか?

(サマリー)
 自分の赤ちゃんが性分化疾患を持っていると分かった時、親御さんが不安や罪悪感、あるいは怒りさえ感じられるのは十分理解できることです。どのように性分化疾患が起こったのか知ること、子どものこの状態について、親御さんがなにか間違ったことをしたために起こったのでは決してないということを理解してもらうのが重要です。子どもが幸せで健康な人生を送れることをちゃんと理解してもらうために、親御さんが子どもの健康についての情報を十分得られ、経験に裏打ちされた医療用語を伝えていくようにしましょう。子どものケアとサポートに関わる方針決定に家族が参加することも大切です。


 ケアとサポートの方針決定のひとつに、子どもを育てる上での最適な性別を決定することがあります。この決定には、性分化疾患それぞれのタイプでの心理的発達について分かっていることが、考慮されねばなりません。養育性別や、ケアやサポートの方針の決定をしていかねばなりませんが、ご家族は、赤ちゃんを迎え入れ、慈しんであげていってください。



第2章 私の子どもはどのタイプの性分化疾患を持っているのですか?

  • 46,XXDSDとは何ですか?
  • 46,XYDSDとは何ですか?
  • 他にはどのようなタイプの性分化疾患がありますか?

(サマリー)
 「性分化疾患」とは、広く多数の医学的状態を包括するものです。ここでは、性分化疾患を(1)46,XX DSD、(2)46,XY DSD、(3)その他のタイプのDSDと、大きく3つのグループに分けています。これは、とりあえずも、これらの体の状態についていかに考えるか簡単にまとめるための分類です。必要とされる特定の検査、推奨される医療的アプローチは、お子さんの状況に最も合致する分類によって、決まってきます。第3章では、患者さんのケアチームが、どのようにしてお子さんの性分化疾患のタイプを特定するか、そして、なぜその性分化疾患が最初の段階のレベルで起こっているのか正確に特定するために、どのような検査が必要なのか説明しています。



第3章 新生児はどのように診断されるのですか?

  • 様々なタイプの性分化疾患
  • 診断を確定するのにどのような検査があるのですか?
  • 検査はどのように行われるのですか?
  • 検査をして、私の赤ちゃんの状態のどういうことが分かるのですか?

(サマリー)
 赤ちゃんがすぐには性別を特定できない外性器を持って生まれた場合、そのお子さんの最善のケアプランを確立するために、一連の検査が行われます。有効な検査がすみやかに開始されるのが重要で、医師は必要な期間内に、その新生児の性分化疾患に関連した情報を集めることに努めねばなりません。ですが、臨床検査や画像解析は、合理的な段階をちゃんと踏むようにし、慌てて不完全、不正確な結論や決断を下してしまわないようにしなければなりません。慌てて不完全・不正確な結論、決断を下してしまうことは、ご家族の不安・重圧を不要に高め、子どもの医療マネージメントを誤ったものにするだけです。


 性分化疾患の3タイプの分類(46,XX、46,XY、その他)は、あくまでごく簡単なものに過ぎません。性分化疾患のより正確な特定診断は、大変複雑なものになります。正確な特定診断がすぐに出なくても、諸検査から判明した情報は、性別判定と医学的・外科的治療プランを明らかにしてくれるでしょう。お子さんのケアチームは、ご家族がお子さんにとって最善の判断ができるよう、お子さんにどのような検査が必要なのか、なぜ検査結果を伝えるのか、伝えるべきなのか、ご家族に説明せねばなりません。もしご家族の方で、必要な情報をもらっていると感じられないようであれば、お子さんの担当医にいろいろ質問してください。たいていの場合、ご家族と良好なやり取りのできる人が最低でもひとりはケアチームにいるはずです。この人が、ご家族が情報を必要とする時のキーパーソンになるでしょう。



第4章 性分化疾患での「心の性別」の発達

  • 「心の性別」とはなんですか?
  • 性分化疾患を持つ人の長期的な「心の性別」の発達について分かっていること

(サマリー)
 性分化疾患を持つ赤ちゃんが生まれた際、その子の性別を判定するのは緊張の多いものになりえます。性分化疾患を持って成長した成人の長期的な性別同一性がどのように発達していくのかという知見は、赤ちゃんが男性か女性か判定する際、有効です。この知見は、ご家族や担当医師が、性別判定に関する最も適切な判断を行うのに役に立つでしょう。


 一般的に、46,XX DSDを持つ赤ちゃんは、このタイプの赤ちゃんの大多数が女性の性別同一性を確立しますので、女性として育てられます。 47,XY DSDを持つ赤ちゃんは、(1)完全にテストステロンとDHTが生成されない場合、もしくは(2)CAISの場合、この体の状態を持つ人は大多数が女性の性別同一性になりますので、女の子として育てられます。47,XY DSDで(3)精巣ホルモンが一部しか生成されない、もしくは(4)PAISの場合、外性器の男性化の度合いによって、男性かもしくは女性として育てられます。そして、この(3)(4)2つの体の状態の場合、育ての性別に不満足を持つ人が出てくることもあることを、ご家族は理解しておかねばなりません。この可能性について理解しておくことで、お子さんに対するこれからの医学的・外科的治療の方針を柔軟なものにできます。最後に、5α還元酵素欠損症と17βヒドロキシステロイド脱水素酵素欠損による46,XY DSDを持つ新生児は、男性の性別同一性になる可能性が高いため、男の子として育てられることが推奨されます。


 ご家族と担当医が、性分化疾患を持つお子さんの最適な性別判定に合意したなら、次は、医学的・外科的治療や日常のお薬なども含めた長期単位でのケアプランを立てていく段階です。第5章では、性分化疾患を持つ幼児・子どもに推奨される一般的な医学的・外科的治療と、それぞれの良い点と悪い点について述べていきます。



第5章 治療選択肢の理解

  • 性分化疾患を持つ子どもには、どのような治療選択肢があるのですか?
  • 性分化疾患を持つ子どもには、どのような外科手術の選択肢があるのですか?
  • 治療の良い点と悪い点は?

(サマリー)
 性分化疾患について、医学的・外科的治療の選択肢は、診断の種類や養育性別によって様々に異なってきます。ここでは、性分化疾患を持つ子どもの親御さんが考えられる一般的な治療のあり方について述べました。全く治療しないということが子どもにとって最も良いという場合もありますし、すぐに治療に当たることが必要な場合もあります。この章では、親御さんがお子さんのケアチームと共に、娘さんや息子さんにとって最も良い、医学的・外科的長期プランを立てていくのに役立つガイドになっています。



第6章 子どもに性分化疾患のことを伝える

  • 私の子どもは健康に育ちますか?
  • なぜたくさんのお医者さんが関わるのですか?
  • 私の子どもは他の人と同じように成長していきますか?

(サマリー)
 お子さんがお医者さんや病院を怖がる場合は、お子さんに、あなたは十分健康だと教えてあげて、自分のからだにちゃんと自分で気を配っているということを褒めてあげて、思春期に入ると起こるだろう身体の変化へのこころの準備をしてあげれば、少し不安が和らぐでしょう。息子さんや娘さんに、なぜお医者さんに会わなくちゃいけないのかを教えてあげて、息子さんや娘さん自身も自分の健康ケアに積極的に加われるようサポートしてあげてください。その前後を通して、お子さんには自分の体は全然恥ずかしいものじゃないんだということを分かってもらうようにしてください。お子さんにとって最も良いのは、お子さんが自分の性分化疾患についてちゃんと知ること、そして、誰かと愛し愛される大人になっていくことなのです。



第7章 性分化疾患を持つ人の長期的な健康状態

  • 性分化疾患を持つ人の平均寿命は?
  • 私の子どもは、性分化疾患が原因の他の医学的リスクがありますか?
  • ホルモン補充療法の長期的な健康状態に対する効果は?

(サマリー)
 性分化疾患を持つほとんどの人の平均寿命は、他の人と変わりありません。ですが、デニス・ドラッシュ症候群やフレイジャー症候群など、46,XY DSDに関わる癌のリスクの増加、クラインフェルター症候群やターナー症候群などでの心臓血管疾患など、幼くして死亡するリスクのある性分化疾患もいくつかあります。平均寿命が短くとも、注意深い医療ケアによって、ある特定の性分化疾患を持っていることによる合併症のリスクを減らし、寿命を長くすることはできます。こういった理由から、性分化疾患を持つ人のケアを熟知したヘルスケア専門家による、生涯を通した注意深いモニタリングを受けることをおすすめします。私たちもじっくりと、これらの状態を持つ人の体の状態、その流れについて学んでいこうと思います。



第8章 こういう時どうすれば?

  • セカンドオピニオンを取るべきですか?
  • お医者さんを変えたいのですか?
  • もし間違った性別が判定されていたら?
  • もし子どもが、性別が間違っていると思っている場合は?
  • 子どもを研究調査に参加させるべきですか?

(サマリー)
 性分化疾患を持つ子どものご家族が全員、この章で述べたような状況になるというわけではありません。ですが、ご家族は皆さん、お子さんを人生の中で支えていく、ひとつひとつのステップについて意識しておいたほうがいいでしょう。セカンドオピニオンを取ったりお医者さんを変えることは、皆さん(とお子さん)の権利であり、ここでご紹介した情報が、ご家族が次のステップに行く時にお役に立てるものであればと思います。性分化疾患を持つまだ小さな子どものご家族にとっては、お子さんの性別変更はあり得ることです。そして、その時期が早いほど、お子さんやご家族にとってより良いと私たちは考えています。ある程度お子さんが大きくなった場合は、本人の希望なしに、私たちが性別変更を勧めることはありません。そういう場合は、次のステップに行く前に、メンタルヘルスの専門家と本人を共にした見極めが必要でしょう。



第9章 ピアサポート

(サマリー)
 性分化疾患を持つ人は、孤立感を抱くことが多く、心の性別や愛情のこと、妊孕性といった問題を話し合うことに心傷つかれることもあり得ます。あなたはひとりじゃないんだ、性分化疾患を持つ多くの人々が、診断や治療の必要性にも関わらず、力強く生きているのだということを知ってもらえればと思います。性分化疾患を持つ他の人々と出会う一番いい方法は、質の高い全国・地域ごとのピアサポートグループのメンバーになるか、自分自身でそういうグループを作ることです。他の人と会ったり、自分の経験を話すのは、最初はとても怖いことだと思います。でも、そうすることで、支持的な環境の中でひとりじゃないと感じ、自分の思い・考えをを自由に話せるようになるのです。この章を読んで、皆さんが自分はひとりだと感じる必要はないのだと思っていただければと思います。性分化疾患を持つ人が、皆さんを助けることになります。そしてそういう人たちと出会えるのは、ピアサポートグループを通してなのです。
    


 欧米のAISDSD家族のためのメーリングリストより、親御さんからの推薦文です。

 「性分化疾患:家族と医療従事者のためのガイドブック」は、DSDの診断を受けたお子さんを持つ、家族の困惑や不安をよく理解している、熟練の専門チームによって書かれた初めての書籍です。この本は、DSDの持つ生物学的側面と心理社会的側面について知っておきたいことを、家族の皆さんにも理解していただけるよう、平易かつ簡潔な文章で書かれています。まず最初のページで、お子さんの将来の幸せと健康を保証した上で、分かりやすい図表やイラストで、DSDの状態がどのように起こるのか明確に説明しています。診断分類や対応方、更に心の性別やセクシュアリティ、性別変更の可能性といった主要な課題も率直に説明されており、これらの難しい問題も、神話ではなく実際的に事実に基づいて詳しく説明されていますので、家族や医療従事者も、お子さんそれぞれにとってどうしていくのが一番いいのか、考えやすくなるでしょう。著者はピアサポートの重要性についても特に注目していて、質の高いサポートグループへのアクセス方についても言及してくれています。家族それぞれの価値観や文化を尊重し、ケアのあり方の選択肢を偏ることなく提示してくれています。医療従事者の中でも様々な意見が出てくるでしょうが、この本は家族とお子さん、医療従事者とを結びつけ、満足できる解決方へと辿り着くための、ユニークで理にかなったアドバイスを与えてくれるでしょう。   


他にも翻訳したい文献や資料はたくさんあります。是非メールをください!

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G a r r y L. Wa r n e, M B B S, F R A C P
Associate Professor and Director
Department of Endocrinology and Diabetes
Royal Children’s Hospital
Parkville, Victoria, Australia