Nex Anex DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)情報サイト

ネクスDSDジャパンの別館です。ここでは,DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)の学術的な情報を発信していきます。

AIS-DSDカンファレンス・イン・ボストン(2)

 AIS-DSDカンファレンスで、5歳のAISを持つ女の子にもらったミサンガです!とても元気で可愛い女の子さんでしたよ。ミサンガはカンファレンスのキッズイベントで作ったそうです。







 さて、AIS-DSDサポートグループ主催のカンファレンスに先立ち、ボストンのInn at Longwood Medical Center Best Westernにて、性分化疾患に関わる医療関係者のカンファレンス「Improving Collaboration and Communication for DSD Care 2013」が行われました。会場のホテルは、ハーヴァード大学医学部ヘルスサービスのひとつであるLongwood Medical Centerに併設されたホテルなのですが(全米から患者さんやご家族が集まるため、宿泊用のホテルがあるんです)、マクドナルドやKFCなども含めたフードコートもあって、日本との大きな違いに驚かされました。アメリカでは大きな病院ではよくあることらしいです。

 医療カンファレンスは、ハーヴァード大学医学部のMarc R. Laufer教授(婦人科)や、性分化疾患専門医療サービスであるSucceed ClinicのAmy Wisniewski医師(小児泌尿器科医・心理学)、そしてCAISを持つ娘さんのお母さんであり医師であるArlene Baratzさんらを中心に行われ、最先端の取り組みが報告されました。

 7年前、私が初めて訪れた2006年のサンフランシスコでの性分化疾患医療カンファレンスの頃と比べ、現在ではリサーチや医療とサポートグループのコラボレーションも格段に進んでいました。正確な診断(ちゃんとしないと命にかかわる場合もあります)のプロトコル、親御さんやご本人への診断の説明の仕方、ご本人やご家族へのサポートグループや臨床心理士さんによる心理的サポート、性別の判定(殆どの場合が判明します)、侵襲的ではない(神経節など体に害を及ぼすことができるだけ少ない)外科手術のプロトコルなど、多岐に及ぶ進展の報告がなされました。

 また、私たちの翻訳プロジェクトからは、「性分化疾患:家族のためのハンドブック」の日本語翻訳版の報告を少しさせていただき、後で執筆者のひとりであるアーリーン医師に献呈させていただきました。性分化疾患医療の発展に寄与されてこられたアーリーンさん、お母さんとしての心配りも多くあったのでしょう、涙を流して喜んで下さいました。(私たちは7年前のサンフランシスコのカンファレンスで、当時の性分化疾患を持つ人々のサポートグループISNAの代表、シェリス・チェイス(ボー・ローラン)さんに翻訳のお約束をさせていただいたのですが、ボーさんは今回残念ながら欠席とのことで、ご友人の方に献呈させていただきました)。「性分化疾患:家族のためのハンドブック」日本語版は現在校正中です。定期的にこのブログでも引き続きupしていきますが、後日PDFでの完全版をダウンロードできるよう、こちらでご紹介する予定です。

 また、性分化疾患専門医療サービスであるSucceed ClinicのAmy Wisniewski医師から、医療関係者と家族のための最新の性分化疾患医療のガイドブック「Disorders of Sex Development, A Guide for Parents and Physicians」の翻訳のご依頼をいただきました。なんと、翻訳版は無料で提供してもらっていい(!)とのことでしたので、私たちの翻訳プロジェクトは次にこのガイドブックの翻訳を行って、ご家族の皆さんがご覧いただけるようにしていきます。時間はかかると思いますが、翻訳をお手伝いいただける方も新たに募集して、できるだけ早い時期に提供できればと思います。(原著英語の方は、Kindleで購入できます)。このガイドブックは、「家族のためのハンドブック」よりも少し詳しく、検査や医療の流れ、性分化疾患の種類・原因、子どものサポートの仕方、サポートの利用の仕方などが書かれています。

Disorders of Sex Development: A Guide for Parents and Physicians (A Johns Hopkins Press Health Book)

Disorders of Sex Development: A Guide for Parents and Physicians (A Johns Hopkins Press Health Book)

 更に、イギリスの医療関係者と性分化疾患を持つお子さんの親御さんたちが作った、性分化疾患医療のファクト・シート(検査や手術、ホルモン療法など、医療の流れそれぞれの場面に知っておくべき情報をまとめたもの)の翻訳許可も頂いています。こちらも、これから時間がかかるでしょうが、日本語版をご紹介できればと思います!

 翻訳をお手伝いいただける方、大募集中です!ぜひこちら(nexdsd(at)gmail.com)にメールをください!