Nex Anex DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)情報サイト

ネクスDSDジャパンの別館です。ここでは,DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)の学術的な情報を発信していきます。

弊会ネクスDSDジャパンに対してのデマについて

令和5725

 

ネクスDSDジャパン

主宰 ヨ ヘイル拝

 

 

弊会ネクスDSDジャパンに対してのデマについて

 

 

 ネクスDSDジャパンと申します。

 

  「ネクスDSDジャパン」は、いまだ日本では誤解や偏見の多いDSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患/インターセックス)について、海外の各種DSDs患者家族会・サポートグループ、国際的な人権支援団体の皆さんのご協力をいただき、DSDsの正確な情報を提供する活動を行っております。

 

 日本において、最新の医療情報,海外国家機関などの客観的な調査を基盤に,当事者・家族の立場からみたDSDsの情報を発信している支援団体として、現在では、DSDs臨床専門医療・ケア関係者、臨床心理職、海外のインターセックス活動家・団体、生命倫理研究者などのご協力もいただきながら活動させていただいております。また,各種DSDsのサポートグループ,患者家族会からもコンタクトをいただき,DSDsの患者家族会連絡会としても活動しております。

 

 さて今回,ある団体から,ある大学や団体に対して,弊会ネクスDSDジャパンに関する「要望書」なる文書が送付され,SNS上で公開されております。

 

 ですが,この文書は事実誤認や思い込み,デマに基づくものであり,弊会としては,弁護士の方にも相談し,今回の文書は十分,信用毀損,偽計業務妨害名誉毀損に当たるとのご意見もいただいています。

 

 ただ,弊会としては,当事者の方の団体を訴えるということにはかなり躊躇をしており(どんな方でも苦しんできている当事者の方には変わりがありませんから),ですが,弊会に関係のない団体の皆様にも大変ご迷惑をおかけしている状況であり,まずは,デマ・事実誤認の内容に対しては毅然と否定し,該当団体には「要望書」の撤回を求めます。

 

 

 

  • 弊会は,「DSDsのある人々にLGBTQなど性的マイノリティの人々がいない」とは一切言っていませんし,透明化も否定もしていません。事実無根です。SNS上でも当初から「もちろんDSDを持つ人々の中にもLGBTQ等性的マイノリティの方がいらっしゃいます」と定期的にお伝えしています。また,筑波大学様に提供した当のコンテンツでも,これまでの講演でも,「当然,DSDsを持つ人々にもLGBTQの人々はいます」と必ずお話しています。

 

  • DSDsセクシュアルマイノリティではないと言っている」については,「DSDsのある人々の大多数が,自身をLGBTQなど性的マイノリティの一員とは思っていない」という事実をお伝えしているだけです。思ってもいない当事者・家族の皆さんを,弊会が勝手に加えることはできません。また,「性別二元論にこだわっている」という非難についても,DSDs当事者の大多数が,「性別二元制」を崩したいとは思っていないという事実を伝えているだけです。これらは,世界で初めて同性婚制度化を実現した人権先進国オランダや,ベルギーの国家機関による調査報告書でも指摘されているところです。

 

  • 弊会は「LGBTと一緒にしないで」とは一切言っておりません。DSDsの話とLGBTQなど性的マイノリティの皆さんの話は,「ダウン症候群のある人々」と「東洋人」がただ単に異なるのと同じように,ただ単に異なるものであり,混同するとDSDsの話が見えにくくなるとお話しているだけです。

 

  • 海外の「インターセックス」当事者団体も,最初の最初から「インターセックスジェンダーアイデンティティの問題ではない」「あくまで身体(sex)の問題である」とはっきりと明言しております。オランダやベルギーの国家機関による調査報告書でも,DSDsのある人々の話を性同一性・性自認の話だとすることで問題が起きていることを指摘しています。また,海外の現在のDSDs先端医療は,DSDsをして「女性にも様々な体の状態がある。男性にも様々な体の状態がある」という方向にシフトしており,弊会もその事実をお伝えしております。

 

  • ですが,当然ですが,弊会はトランスジェンダー・ノンバイナリーの人々を「身体性別」を基準に話をしたこともありませんし,「ジェンダーアイデンティティーというものは存在しない」と発言したことはありません。トランスジェンダーやノンバイナリーの人々,性別違和のある人々にとって「性自認」・「性同一性」という概念はとても重要なものであり,その人々の性自認・性同一性の尊重は大切ですと,折に触れてお話しております。

 

  • 弊会は,トランスジェンダーの人々をして「イデオロギー」「思想」と言ったことは一切ありません。事実無根です。「社会運動」「ムーブメント」という表現は使ったことはあるかもしれませんが,それは,LGBTQなど性的マイノリティの皆さんの自身の人権を求める「運動・ムーブメント」として考えており(このような表現はLGBTQの皆さんのコミュニティでも見られるものです),その運動の世界的な広がり,そしてそれを作り上げてきた人々をリスペクトしております。決して,トランスジェンダーの人々自体を「運動・ムーブメント」と言ったことはありません。

 

  • 弊会は「どちらかを包摂すればどちらかが排除される」とは一切主張しておりません。事実無根です。

 

  • 弊会は「〇〇人なんかいなくなればいい」のような発信は一切しておりません。事実無根です。

 

  • 「トランスヘイトは壺カルト」。弊会はいかなる宗教団体とも関係ありません。

 

  • また,「要望書」ではなく,最近SNS上にて,弊会主宰のヨヘイルは「韓国保守系団体の手先」とのデマもありましたが,私はいかなる政治団体とも関係ありません。

 

  • 弊会は,当初より自主独立を貫いております。弊会の目的は,各種DSDsの当事者や家族の皆さんに正確な情報を提供すること,社会の皆さんにDSDsの正確な知識を啓発すること,それだけです。現在,LGBTQなど性的マイノリティの皆さんを巡る状況が大きく分裂,悪化していることには憂慮しておりますが,DSDsに対する誤解偏見は現在でも,どのような属性,どのようなお立場の方でも払拭されていないままです50年前にLGBTQ等性的マイノリティの皆さんへの偏見・誤解を一般社会の方が持っていたのと同じ状況が,DSDsに対しては現在も続いている状況とお考えください。日本ではありがたいことにLGBTQ等性的マイノリティ当事者の皆さんの中では,多くの方がDSDsの正確な知識を共有頂いていますが,一部のLGBTQアライの方,海外や,日本のもっと大きく広く社会一般の皆さんは,現在でも「男でも女でもない性別」という偏見をお持ちです。)。弊会の啓発活動は,社会的属性やお立場などに関係なく,広く社会一般の皆さんに行っているもので,特定の属性の人々をアシストしているわけでも,差別を行っているわけでも,選んでいるわけでもありません。DSDsに対する誤解偏見をお持ちの方にただ啓発を行い続けているだけです。

 

  • 弊会は,要望書を出されたDSD当事者団体に対して非難を加えたことは一切ありません。「踏み潰すことに躍起に」もなっておりません。事実無根です。それどころか,実際のところ,なんの言及もしておりません。ただし,海外で,「私はCAHで割り当てられたが,本当は男性だ。本当はCAHには薬は必要なく,医者の陰謀で,薬を飲まされることで苦しんでいる」などと喧伝していた活動家の団体に対してなどは,事実誤認,陰謀論として批判することはあります。

 

  • 弊会は,弊会の活動に異を唱える当事者の方に対して,「特殊な人」「私たちとは関係のない人たち」とは言っておりません。

 

 

 ただし,「特殊な人」という表現は,弊会主宰の私(ヨヘイル)が,自身への戒めとして自嘲として,時折使う表現ではあります。私自身は在日ハーフ,DSDs当事者かつLGBTQの一員であり,母が身体障害を患っていたということもあり,幼い頃から現在に至るまで,様々な反差別運動を目撃してきました。当然ですが,そのような運動はとても大切なものです。ですが時に,そのような運動にコミットしない当の当事者の人々に対して,「なぜ運動に参加しないのだ!」「タダ乗りするのか!」といった不当な非難がなされるという場面を,大変残念ながら,何度も見てきました。

 

 弊会の活動を通して,別に「活動」というものをすることもなく,ですが,DSDsに対する偏見への恐怖や,様々な苦しみ・悩み,身体の不調を抱えながらも,時に這うように,時に力強く立ち上がるように,自分の人生・生活を,精一杯に,堂々と生きていらっしゃる当事者の方々,罪責感や様々な葛藤を抱えながらも,その人達を精一杯に支える家族の皆さんと出会うことができました。

 

 私は,「活動」なんかよりも,そういう人々こそが最も強く尊い人々であり,そこを絶対見失ってはいけないということを忘れないために,このような活動をするような自分こそが「特殊な人」であると,自身への戒め・自嘲としているわけです。もちろん,このことは何らかの活動・運動をする方々を否定するものではありません(私自身が葛藤を抱えながらも「活動」をしております)。

 

 私自身がネクスDSDジャパンの活動を始めたのはいくつかの理由がありますが,一つの理由は,私の母のことでした。母は脊椎カリエスという身体障害を幼い頃から抱えながらも,様々な差別や不当な非難にさらされながらも,私というまた別の障害を持つ子どもを持ち,大きな罪責感と悲しみ・苦しみを抱えながらも,市井で堂々と,精一杯,最後まで生き続けました。私は,私が幼い頃の通院中のある出来事から,母はその障害故に,昔の医療において,標本写真を取られたのだということを知りました。そして,このような母の,精一杯生きる身体を,誰かが勝手に奪い,モノのように,標本のように扱う非人道的な行為は,昔は多くのDSDs当事者の方々が体験してきたということも知りました。それが,どれだけ,人間としての尊厳を完全に奪うものなのか,私は今でも激しい怒りを感じざるを得ません。

 

 現在のDSDs専門医療ではこのような行為は行われないようになっています。とてもありがたく,そしてそれ以前に,人間として当たり前のことです。ですが,とても残念ながら,現在では,LGBTQI+アライを自称する人々,「性の多様性」を謳う大学の学者の方が,DSDsのある人々の全裸の標本写真を公然と展示したり,DSDsのある人々にとって極めてプライベートで極めてセンシティブな領域であるはずの「生殖器」の図画をやはり公然と展示して,「男女の体にも境界はないのです!」「何をもって男性器・女性器と言うのですか?」「第三の性別欄が必要です!」と訴えるようなことがあるような酷い状況です。トランス女性の方がレズビアンバーのイベントに入ることについて,「ちんこありのインターセックスの戸籍上女性だったらいいんかな?」とSNSで公然と言ってのけた「アライ」自称の方もいらっしゃいました。

 

 今回の件については,実は,多くのLGBTQ等性的マイノリティの団体・個人の皆さんから,SNSの外からは見えないダイレクトメールや個人的に,「がんばってください」「これはおかしいと思う」と励ましのお言葉を頂いております。本当に勇気づけられ,励まされました。ここに改めて感謝を申し上げます。ありがとうございます。差別がありながらも,人々の中で精一杯,堂々と生きるLGBTQ等性的マイノリティの皆さんは,その苦しみ故に,他のマイノリティ,被差別の状況にある人々の苦しみを分かっていただけるものなのだと,本当にありがたく思っております。

 

 今回の要望書の賛同意見欄を見たところ,LGBTQやトランス・ノンバイナリーの皆さんの「アライ」を自称する人々が多く含まれていました。やりとりをしただろう人もいらっしゃいます。ですが,そういう方は,トランスの皆さんの身体について言及することは差別だと言いながら,返す口で,なぜかDSDsのある人々の,極めてプライベートで極めてセンシティブで,それも理由に自死する当事者の方もいるような身体については,「これは生物学の話ですから」「誰でも身体は持っているのだから」と,まるで当然のように,まるで自分のモノのように,標本のように,平気で言及するような方がいらっしゃいます。「生物学的な視点」で,「いろいろ言っていいモノのように」,自分の極めてセンシティブで極めてプライベートな領域である「生殖器」の話を見られるというのが,どのような体験になるのか,そのような方にはさっぱり想像ができないようです。このようなことでは,トランスの皆さんの身体にも言及して良いと思わせるようなものにもなり,さらにトランスジェンダーの方への差別もひどいものになりかねません。私は,このような自称アライの人々の言葉こそが,現在の状況の悪化を生んでいるのだと思っております。もちろんですが,多くのLGBTQアライの皆様は,そういう方たちではない,本当に地道に市井で支援を続け重ねてこられている方たちだということも承知しております。

 

 弊会ネクスDSDジャパンとしては,もしこれ以上,他の団体・組織の皆様にご迷惑になるような事態が起きた場合は,弁護士の方とも相談し,大変残念ですが,さらなる対応を考えなくてはならないと思っております。

 

 現在,LGBTQなど性的マイノリティーの皆さんに対するバッシングが酷いことになっている中,LGBTQ等性的マイノリティの皆さんの正しい情報が共有され,当事者のみなさんの安全と安心,望みが叶えられていくことは,とても大切なことであると思っております。今回の「要望書」を出された当事者の方も,とてもつらい状況を生きてきていらっしゃいます。

 

 この社会に生きる人々が,誰かを犠牲にすることなく,差別なく,生きていける時代が来ること祈ります。

 

 

 

ネクスDSDジャパン

主宰 ヨ ヘイル拝

nexdsd@gmail.com

 

 

(資料)

 

 

(定期的にこのツイートを発信しております)

 

(該当ツイートの過去ログ)

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  • 筑波大学様に提供したレクチャーでも明言しております。

https://youtu.be/YQzdyOvQuEg?t=1807

 

  • DSDsが「性自認・性同一性」の話ではないということについては,拙論で解説しております。

 nexdsd.hatenablog.com

 

 

簡単に言えば,「DSDs性自認の話」ということになったのは,1950年代前後以降,「女性(female)の体であればこうでなくてはならない,男性(male)の体であればこうでなくてはならない」という社会的生物学固定観念が強迫的に強まり,DSDsを持つ人びとが,その基準に当てはまらないということで,それまでただの女性(female)・男性(male)に過ぎなかった当事者の人びとが,身体は「男でも女でもない」とされ,「男でも女でもないのに女性・男性だと思いこんでいる」という差別的な観点から,DSDsを持つ人びとに「性自認・性同一性」の概念が適応されたわけです。

 

 

 

  • オランダ・ベルギー国家機関によるDSDsのある人々の実態報告書

 www.nexdsd.com