Nex Anex DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)情報サイト

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クラインフェルター症候群とメディアの誤解

 

 

 

 

 

クラインフェルター症候群男性を「ノンバイナリー」とした記事より

 

「1,000年前の遺体はノンバイナリーの可能性がある」という記事に対するクラインフェルター症候群(XXY)当事者団体の声明

 

非営利慈善団体「Living with XXY」(クラインフェルター症候群サポートグループ)声明

 

親愛なるXXYコミュニティのみなさんへ

 

 私たちは8月9日・10日に発表されたNPR、ガーディアン、およびスミソニアン博物館マガジンの記事を知り、その情報の不正確さに深く悲憤しました。私たちのチームはニュースメディアとの問題を専門的に対処するために取り組んでいますが、みなさんにお知らせしたいと思います。当事者・家族のみなさんの懸念を聞いており、私たちが取り組んでいる手順をお知らせしたいと考えています。

 

 私たちの組織とコミュニティとして、クラインフェルター症候群(47,XXY)で生まれた男性は生まれながらの男性(male)であることを理解しています。性自認や性表現は、染色体や遺伝子で定義されるわけではないでしょう。私たちは、どのように自己を自認するかも支持していますが、これらの記事が私たちクラインフェルター症候群のコミュニティに対して誤解を招く考えに基づいていると感じ、私たちが行おうとしている取り組みに対して有害で逆効果であると考えています。

 

 NPRの記事は、ヨーロッパ考古学雑誌に掲載されたエントリー論文の要約であり、考古学的対象(遺骸)を使い、新しい技術を使用してaDNA(古代DNA)の同定を行い、その個人が具体的にどのような人物であったかについての仮定をするというものです。査読を受けた論文ということですが、私たちLiving with XXYは記事のタイトルが実際の内容とは異なると感じています。クラインフェルター症候群に関して引用された情報源は時代遅れのものであり、より高度なクラインフェルター症候群の研究のベストプラクティスとも一致していません。1,000年前の人物の生活の一瞬の写真を基にして、この人物の身元、性自認、または性的指向について勝手に仮定することはできないでしょう。

 

 私たちは、NPRやスミソニアン博物館マガジン、そして最終的には研究者と協力して、クラインフェルター症候群に関するポジティブで生産的で積極的な認識を高めることを願っています。コミュニティを支援し、NPR、ガーディアン、およびスミソニアン博物館マガジンに懸念を表明するために引き続き働きかけていこうと思います。

 

Ryan Bregante
クラインフェルター症候群当事者・家族団体「Living with XXY」代表・創設者