nexdsd JAPAN 性分化疾患情報サイト

体の性の様々な発達(性分化疾患)に関する情報を発信します。

外性器はどのように発達していくか?

外性器はどのように発達していくか?

 図5.1「生まれる前の外性器の発達」は、出産前(子宮の中で)、外性器がどのように発達していくかを表したものです。上から1番目と2番目の図は、受胎後7週間、すべての人が同じ基本的な生殖器の構造から発達が始まることを示しています。この後外性器は、男性特有のタイプ、女性特有のタイプ、もしくは見た目だけでは男性・女性どちらか分かりにくいタイプに分化していきます。

 図の左側は、男性のほとんどがどのように発達していくかを示したもので、図の右側は、女性のほとんどの発達を示しています。性分化疾患を持った子どもの中には、男性特有のものとも女性特有のものとも、はっきりとは言えない外性器の形で生まれてくることがあります。(性分化疾患を持つ子ども全員が、見た目だけでは性別が分からない外性器の状態で生まれてくるわけではないことは覚えておいてください。性分化疾患を持つ人には、その状態が、内性器や内分泌、遺伝子のみという人もいます)。もし子どもが、見た目だけでは性別がすぐには分かりにくい外性器の状態を持っている、もしくは、外性器はどちらかの性別に特有のものではあるけれども、内性器がその性別に一致しないという場合、出生前に何かが起きて、男の子もしくは女の子の体の性の発達が、あまり一般的ではない筋道となったからです。


 男の子の外性器と女の子の外性器は、(受精後7週間は)見た目が同じところから始まり、ホルモンの影響でそれぞれ違った発達の仕方をしていきます。もし胎児が通常よりもずっと多いある特定のホルモンの暴露を受けた場合、あるいは体の方がそのホルモンに通常よりも大きく反応するか、通常よりもほとんど反応しないという場合、見た目だけでは性別が分かりにくい外性器の状態となっていくのです。


図5.1. 生まれる前の外性器の発達



図5.2. 様々な外性器の形

 この図は、子どもが生まれた時に外性器の見た目にどのようなものがあるかを示した図です。男の子のほとんどは、1番の図のような形の外性器で生まれてきます。また女の子のほとんどは、6番の図のような形の外性器で生まれてきます。そして、他の図のような形の外性器の状態で生まれてくる子どももいるのです。

性分化疾患について(5)

どうすれば支援ができますか?

 性分化疾患を持つ人に対して、人々が否定的な反応をすることもあるでしょうし、逆に妙に興味を持って接しようとする人もいます。そういう反応が起こるのは、性分化疾患のことをちゃんと正確に理解していなかったり、性分化疾患のことが自分の考えを揺るがす(もしくは、他の人の考えを揺るがすことができる)と思われるからでしょう。皆さんができることは、その人が性分化疾患を持っているからといって、その人(彼、もしくは彼女の家族)を、他の人と違った人として見ないことです。つまり、その人のことを体のことだけで見ないことです。金銭面での支援をお望みなら、性分化疾患を持つ人とその家族を支援する団体にお願いします。

性分化疾患について(4)

性分化疾患には、たとえばどのようなものがありますか?

  • 完全型アンドロゲン不応症(完全型AIS、CAIS)
  • 部分型アンドロゲン不応症(部分型AIS、PAIS)
  • 5α還元酵素欠損症
  • 性染色体モザイク
  • 部分型・完全型性腺形成不全
  • 46,XX染色体を持つ人の先天性副腎皮質過形成(CAH)
  • 膣形成不全(MRKH)

 これは代表的なものであり、現在では性分化疾患とされるものは、約70種類以上あるとされています。

性分化疾患について(3)

性分化疾患を持っている人は同性愛者なのですか?

 性分化疾患を持って生まれた人にも、もちろん、同じ性別の人を愛する人もいれば、異性の人を愛する人もいれば、どちらも愛する人もいます。性分化疾患を持って生まれた人の性的指向*1は、性分化疾患を持って生まれなかった人の性的指向と同じなのです。誰かの染色体や遺伝子、性器、あるいは体の性の変異から、その人の性的指向を予測したり決定したりすることはできません。人間というものは、そういうものよりもずっと複雑な存在なのです!

*1:訳者注:その人が、異性の人を愛するか、同性の人を愛するか、どちらの人も愛するかということ。

性分化疾患について(2)

性分化疾患の頻度はどれくらいですか?

 実はこの質問に正確に答えることはできません。理由は3つあります。(1)性分化疾患についての中心的な統計というものはなく、どれほどの人が診断されているかははっきり言えないから。(2)性分化疾患を持って生まれた人でも、性分化疾患と診断されていないこともあり、診断された人の数を数えても、本当の人数とはならないから。(3)お医者さんの中でも、ある体の状態を「性分化疾患」として数える人もいれば、体の性の変異のヴァリエーションのひとつとして数える人もいるから。大きなクリトリスや小さなペニスを性分化疾患に数えるお医者さんもいれば、そのような状態を性分化疾患に数えないお医者さんもいます。実際のところ、どのような状態までを数に加えるか簡単に答えることはできません。

性分化疾患について(1)

 この章では、性分化疾患を持つお子さんの親として、皆さんに役立つ資料をお送りします。お子さんの性分化疾患のことや、ご家族皆さんの経験を他の人に話す時、この章をコピーして、病院やお子さんの学校、ご親戚などに話す時などに、ご利用いただければと思います。どうぞ自由に使っていただければと思います。

性分化疾患とは何ですか?

 私たちが人の「性別」について話す時、通常私たちは、生物学的(身体的)観点から、その人が男性か女性かということを話しています。皆さんの「性別」を構成するものには、「性染色体」(詳しくは少し後でお話します)、「性染色体」以外の染色体上のいくつかの遺伝子、それに卵巣もしくは精巣、膣、クリトリス、ペニス、尿道などの性に関わる体の器官などがあります。性ホルモンも、皆さんの性別を形作るもうひとつの要素です。性ホルモンは、皆さんの体の血液の中で流れる科学物質でできたメッセンジャーです。(テストステロンやエストロゲンが、代表的な性ホルモンです)。性ホルモンは皆さんのからだが性的に成長するのに役立ちます。たとえば、皆さんが生まれる前、性ホルモンは皆さんの性器が発達するのに関わりますし、思春期には、子どもの体から男性、もしくは女性の体に変化していくのに関わってくるのです。

 私たちが母親のお腹の中に宿る時から死ぬ時まで、私たちの体は性発達の多くのステップを踏んでいくことになります。たとえば思春期、皆さんは性的に成熟し、子どもの体から、性的に成熟した男性、もしくは女性の体へと発達していきます。しかし、思春期は、更年期と同じように、明らかな性発達の段階のひとつに過ぎません。実は思春期以外にも、通常ははっきりと見た目にはわかりませんが、もっと多くの発達段階があるのです。性発達は、まさに受胎の時からはじまり、子宮の中にいる時にもそれは続き、早期幼児期、青年期、成人期、老年期にも性発達の段階は続くのです。

 「性分化」とは、男の子や女の子、男性や女性が、男・女それぞれ異なるの体の性の発達をしていくことを言います。たとえば受胎後数週間の間に、子宮の中では胎芽*1が、「性腺原基」を形成していきます。更に数週間後、この性腺原基は通常、精巣もしくは卵巣のどちらかひとつになっていきます。ですのでこれも体の性の発達のひとつの段階、つまり生まれるずっと前、性腺原基が卵巣か精巣に分化していく段階なのです。

 外性器(ペニスやクリトリス、陰嚢や陰唇など)は、人生の様々な段階で分化していきます。性分化疾患を持つ子どもたちは、通常とは違った見た目の外性器を持っていることもあります。ただし、性分化疾患を持つ子どもたち全員が、通常とは違った見た目の外性器を持っているわけではありませんし、平均とは違った見た目の外性器を持っている人が皆、性分化疾患を持っているというわけではありません。(「標準」「平均」とは、統計上の真ん中でしかありません)。

 性分化の最初の段階は、まさに受精の時に起きていると言えます。卵子と精子はそれぞれ23本の染色体(遺伝子を入れた、たいへん小さな物質)を持っています。遺伝子とは、人間の体を作り上げる設計図のようなものです。他の染色体と同じく、通常は母親の卵子がX染色体をひとつ提供し、父親の精子がX染色体もしくはY染色体をひとつ提供します。ですので、性分化は受精段階から始まっていると言えるのです。もし胎芽がXXの組み合わせとなるなら、胎芽は通常女の子に成長していきますし、XYの組み合わせとなるなら、男の子に成長していきます。

 体の性の発達は人生の中で大変多くの段階を踏んでいきます。ですので、ある人が、男の子や女の子の平均とは違った発達をしていく機会は多くあるということになります。体の性の発達が通常とは少し違った経路を取った場合、その状態が「性分化疾患」と呼ばれることがあるのです。つまり「性分化疾患」とは、体の性の発達の多くの様々なヴァリエーションについての名前なのです。このような体の状態はたいていの場合、「外性器男性化先天性副腎皮質過形成」や「アンドロゲン不応症」などの、それぞれの状態に応じた名前で呼ばれています。

*1:訳者注:精子と卵子が受精して赤ちゃんになっていく最初の段階のこと

エヴァが生まれた日

   
 今回は、5α還元酵素欠損症(5αリダクターゼ酵素欠損症)を持つお子さんのお母さんの体験談をお送りします。

 5α還元酵素欠損症とは、どのような体の状態でしょうか?ここでは、アメリカの性分化疾患を持つ人々の支援団体、Accord Allianceの解説を引用しましょう。

 通常、胎児が遺伝子的に(46,XY染色体を持つ)男性の場合、胎児はどのように発達していくのでしょうか?胎児の発達の早期、原性腺(性腺になっていく細胞)が精巣に発達していきます。そしてその精巣はテストステロンを放出します。胎児の体は5α還元酵素(5αリダクターゼ酵素:5−AR)と呼ばれる科学酵素を作り出し、5α還元酵素は、テストステロンの一部をジヒドロテストステロンに変換します。そして、そのジヒドロテストステロンが、一般的な男性のタイプの外性器を発達させるのです。


 一般的な男の子では、思春期に入ると、精巣が大量のテストステロンを生成します。(5α還元酵素は、思春期では、体に影響を与えるテストステロンに、何らの必要もありません)。そうして、男の子の体は男性の体へと成熟していくのです。男の子のペニスは大きくなり、声変わりが起きて、男性特有の顔つき、体毛、体つきに発達していきます。


 もし胎児が5α還元酵素欠損症を持っているという場合、それはその胎児の体に5α還元酵素が無いことを意味します。そのため、発達の早期で、まず原性腺は精巣に発達しテストステロンを生成し始めるのですが、5α還元酵素が無いために、テストステロンがジヒドロテストステロンに変換されることはありません。その結果、胎児の外性器は、女性に一般的な形のように形成されていくことになります。そういう子どもは、外性器は形成不全の状態か、全く女性に特有の形をして生まれてくるのです。(5α還元酵素欠損症を持っている子どもは、女性だろうと思われて、女性として育てられることもあります)。


 思春期になると、この子の精巣は大量のテストステロンを作り出します。(思春期では、性的な成熟を促進するテストステロンに、5α還元酵素が必要ないことを思い出してください)。このため、この子どもは(どちらの性別で育てられていたかに関わらず)、男性に特有の思春期を迎えることになります。つまり、陰茎が大きくなってペニスのようになり、男性に一般的なような声になり、男性特有の顔つき、体毛、体つきになっていくのです。

 

 5α還元酵素欠損症は、性分化疾患のひとつですが、数が少ない性分化疾患の中でも稀なもので、生まれた時に外性器発達不全の状態であることも多いのですが、外性器発達不全の原因にも様々なものがあり、5α還元酵素欠損症の診断が判明するには時間がかかる場合もあります。ほとんどの場合はその間(そしてそれ以降も)、お子さんをどうしてあげればいいのか、親御さんは大変苦しい思いをされることになります。その上で、この体験談のお母さんは、お医者さんとのいい出会いに恵まれず、かなりつらい思いをされています。

 性分化疾患を持つ人で、生まれて以降、性別変更をしなければいけないほどの体の変化が起きるケースはほとんどなく、また生まれた時に判定された性別を変更する人はほとんどいません。ただし、5α還元酵素欠損症の思春期以降での体の変化は大きなもので、南太平洋のこの体の状態を持つ人が多い古来からの地域では、思春期以降男性として生きていくことを習わしとして決めているところもありますが、近代以降の社会地域では、ご本人がそのまま女性として生きてきたい(自分の体を何とかしたい)と思われる女性の方もいて(ある調査では、約40%の人がそのまま女性で生きていきたいと希望されるとの調査結果も出ています)、男性への性別変更を望まれる方も、そのまま女性として生きていきたいと望まれる方も、つらい思いをされることも多いです。(外性器発達不全の状態で生まれ、早期に5α還元酵素欠損症が判明したお子さんの場合は、男の子として育てることを推奨されるお医者さんもいらっしゃいます)。

 私たちが親御さんの体験談をご紹介する時は、いつも皆さんにお願いしようと思っているのですが、親御さんの様々な決断・思いに、様々な「意見」をお持ちの方も多いと思います。性分化疾患という体の状態に興味をもつ人については、希少性から医学的興味をもつ人もいれば、ある種の「解放」の希望を持ちたいという興味を持つ方もいらっしゃるようです。そういう方の中には、「親・本人はこう思うべきだ・こうあるべきだ」という「意見」をお話される方もいらっしゃるようですが、私たちは、周りからの「意見」ではなく、単純化して切り捨てることなく、自分の「意のままに」しようとするのではなく、複雑な状況や複雑な思い・葛藤を複雑なままに、「ありのままに」寄り添っていくことが重要だと考えています。私たちが大切にするのは、総論ではなく、一人ひとりの人間で、私たちの出発点は、いつも「個人」でありたいと思っています。

 性分化疾患を持って生まれたお子さんを持つ親御さんの中には、まだ体験が生々しいままになっている方もいらっしゃると思います。自分自身で振り返りができるとお考えであれば、目を通していただければと思います。 

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社会生活上の質問(1)

   
Q:子どもの性分化疾患のことを、周りの人にはどのように話せばいいですか?

A:ご家族や幼稚園・保育園の先生方、その他お子さんの性分化疾患のことに関わりそうな人たちへの話し方のヒントについては、第3章「周りの人にはどのように話すか?」をご覧ください。お子さんへの話し方については、第2章「子どもの成長と、子どもにどのように話していくか」をご覧ください。
   

Q:学校での着替えなどでは息子はどうしたらいいでしょう?

A:どうすれば着替えを個室対応にしてもらえるかお子さんと話し合いましょう。その上で学校の先生と話し合ってください。「先生や保育士さんにどのように話すか。そのヒント」でも資料を提供していますので、ご活用ください。
   

Q:他の子どもの前で着替えする場面を避けるために、体育の時間は休ませるようにするべきでしょうか?

A:ただ単に息子さんや娘さんの性分化疾患のことを理由に、他の子どもさんも参加する活動を止めさせるようなことはしてはなりません。もしお子さんが他の子どもの前で着替えをするのが嫌な場合は、一人で着替えができるスペースを使う手配ができるか学校と話し合ってください。先生との話し合いには、「先生や保育士さんにどのように話すか。そのヒント」をご活用ください。

MRKHを持つ女性たちのパーソナルストーリーズ(2)

 MRKH(メイヤー・ロキタンスキー・クスター・ハウザー症候群)とは、女性の性分化疾患のひとつです。MRKHは、主に思春期の無月経から、膣や子宮、卵管の一部もしくは全てが無い状態であることが判明します。女性にとっては、とても心痛められることが多く、またこれまで、同じような体の状態を持つ女性との出会いもないまま、孤独の中を過ごさせねばなりませんでした。

 今回ご紹介するのは、2013年のミス・ミシガンに選ばれたジャクリーンさんのインタヴューです。彼女は15歳の頃にMRKHが判明し、辛い時間も送られましたが、元々のヴァイタリティから、沈んでも這い上がるという気持ちで、勉強や広告会社の仕事、ミス・ミシガンの仕事に打ち込んでいらっしゃいます。彼女は、ミス・ミシガンを取った後、自分がMRKHを持っていることを明らかにされ、MRKHのサポートグループ「The Beautiful You MRKH Foundation」に参加され、MRKHの啓発を始めていらっしゃいます。

 欧米では、専門的なサポートグループもいくつかできています。日本でも、MRKHを持つ女性が集まるインターネットグループがあります。

(性分化疾患とは、「染色体、生殖腺、もしくは解剖学的に性の発達が先天的に非定型的である状態」のことで、「男でも女でもない」「中性」「第3の性」のことや、性同一性障害トランスジェンダーの人々、性自認のことではありません。)

 
 (画像はMRKHを持つ女性のグループ、The Beautiful You MRKH Foundationのメンバーの方たちです)。

 ジャクリーンはミシガン州立大学の大学院生で、広告学の修士号を取るために勉強しながら、ブロガン&パートナーズという広告会社でフルタイムで働いている女性です。広告会社ではメディアバイヤーを担当。ジャクリーンがBeautiful You MRKH Foundationにコンタクトしてきたのは、MRKHの啓発をしたいということ、それにグループに興味を持ってくれたから。何度か話をしていく中で、MRKHを持つ女性の人生を良いものにして行きたい、すべての年代のポジティヴなロールモデルになりたいという、彼女の熱意を感じました。Beautiful Youは、喜んでジャクリーンと活動を共にし、チームに迎えることにしました。


 ここ数ヶ月の間、彼女の話はとても素晴らしいものだと感じ、私たちとしては、みんなにも彼女のことを知ってもらおうとインタヴューをすることにしました。ジャクリーンには彼女自身のことについて質問し、MRKHのこと、MRKHは彼女の人生にどのような影響を与えたのか、お聞きしました。


インタヴュアー:MRKHを持っていることでどんな体験をしたのか、人生にどんな影響を与えたのか話していただけますか?


ジャクリーン:十代の頃ってとてもじゃないけど簡単なものじゃないって、女性全員がうなずいてくれると思います。女の子の十代って本当大変!女性ホルモンが体の隅々まで行き渡って、みんな大人の女性になっていくし、高校で友達ができるかどうか、いい成績がとれるか、みんなと馴染んでいけるか、男子からからかわれたりしないか、もうみんな色々な心配がある。そして、ある日は学校に行って、クラスで何とかうまくやっていけるようにしてる。でもそんな次の日には、病院の一室で、世界が全てひっくり返ってしまうようなニュースを聞く。すぐには理解できないようなニュースを。私にとってはそんな感じでした。


 MRKHと診断されたのは15歳の時です。その時はそれがどういうことなのか全く理解できませんでした。分かったのは、父と母が完全に打ち砕かれているということくらい。生理は来ないだろう(それは悪くないんだけど)。そして自分の子どもは持てない(これは嫌でした)。高校では友達数人にしか、そのことは話さなかったです。じゃないと、浮いてしまうことになるし。当時は、それだけは嫌だったんです。MRKHのことを明らかにしはじめたのは大学に入ってからです。人と違うのは悪いことじゃない、私の独自性なんだって思って。ちょっと怒ってたというのもあった。もうこれ以上隠し事なんてしたくないって。ずっと必死に隠してきたんですが。でも私にとっては、秘密にすればするほど、MRKHのことが実際よりも重荷になっていって。明らかにして話すようにしていくと、気持ちが楽になっていきました。それに、赤ちゃんを持つこともずっと後のことだし、あまりそのことを気にしないようにした。代理母や養子縁組もありえるし、私が結婚したいと思う人なら、どちらの選択肢でも愛情は変わらないだろうからって。なので、とにかく大学に行って、卒業して、広告会社の仕事を手に入れて、修士号を取るためにまた大学に戻って、たまたまミス・ミシガン・USA大会に出て、ミス・ミシガンに選ばれちゃった。


 こんな、何かを成し遂げていくことについては、MRKHを持っていることは話しませんでした。落ち込むような、ずっと落ち込ませるような人生上の葛藤のことも。ただただ、そういうこと・人に向き合って、そこから這い上がることに必死だった。克服して、笑顔でこう言うの。「思い知ったか、ざまあみろ!」って。MRKHが私に教えてくれた。助けもしてくれました。人生で、涙で落ち込むようなことがあっても、そんな人がいても、自分自身の中に深く入っていって、またそこから登ってくることが大切なんだって、そういうことを教えてくれた。


インタヴュアー:MRKHのことを啓発しようと思ったのは?


ジャクリーン:自分のことをMRKHの啓発に使おうと決めるまでには、少し時間がかかりました。単純にこのことは個人的なことにしていましたから。世間に知らせるのではなくてね。でも、このことに光を当てなきゃと思った。そうしなきゃ、残りの人生で後悔しそうに思ったから。大変なことをする時って、その分得るものもあります。私にとって、MRKHは、人生で最も辛いことであると同時に、確かに大切なことでもありましたから。Beautiful YouのウェブサイトでMRKHを持つ女の子の話を読み始めて、このことを自分の人生の第一のことにしようと思ったの。私もその流れに身をおいて、MRKHを持っている女の子に、私もそうだって伝えたいって。自分の美しさに気づいて欲しい、いい意味で特別で、MRKHを自分の人生を定義するものにしちゃいけない、自分を飾るものにしちゃいけないって。どんな障害があっても、乗り越えられる、幸せを手に入れられる、自分の人生を作るのは自分だけなんだって、女の子たちに伝えたくて。


インタヴュアー:ミス・ミシガンである間、 Beautiful Youのパートナーになることにしたのは、どういうところから何ですか?


ジャクリーン:ミス・ミシガンとしての間、それに残りの人生で、Beautiful Youのパートナーになったのは、Beautiful Youのみんなが、MRKHという診断への向き合い方を変えていこうとしていること、自分はひとりじゃないんだって、女の子たちに伝えようとしているからです。15歳から24歳の間、私はMRKHを持っている女性と話をしたことがなかったし、そういう女性が他にもいるなんて思いもしなかった。それはとても孤立した時間でした。パートナーになることで、私も一緒に、世界中のMRKHを持つ女の子の孤立感を無くしたいと思ったんです。


インタヴュアー:最近MRKHと診断された女の子に何かアドヴァイスは?


ジャクリーン:とても辛い思いをしてると思う。でも、MRKHを持っていることに食いつくされないよう、自分の人生を定められないようにがんばってほしい。この人生にはたくさんの素晴らしいことがある。否定的になって自暴自棄にならないで。学校にいくこと、進学することに集中して、いいことも考えるようにしよう。まだ分からないかもしれないけど、全てには理由がある、最後には乗り越えていける、そんなことを伝えたいです。


インタヴュアー:Beautiful Youに入って、なにか驚いたようなことはありますか?


ジャクリーン:私が住んでる地域だけでも、こんなにMRKHを持つ女性がいたなんて、とっても驚いたわ!半年前までは、MRKHを持った人に出会うことも話すことも紹介されることも一度もなかったのに。グループに入って良かったです。こんなに、こんなにたくさんの、私と同じような女性がいたんだから。


インタヴュアー:MRKHを持つ女の子や女性は、将来どうなっていけばいいと思いますか?


ジャクリーン:もし将来、MRKHを持つ女の子に変化を起こせるとしたら、診断されたばかりの女の子が、自分は4,500人に1人なんだって感じないようにすること。分かった時の孤立感は私にはとても辛かったです。いつか、そんな女の子がサポートシステムを持てるようにしたい、そしてMRKHを持つ他の女性を紹介できるようにしたい、そしてそんな女の子たちが自分の人生に対して素晴らしいことができるようになって、自分のことをOKと思えるように、もっといい人生を送れるようになっていってもらいたいです。


インタヴュアー:時間がある時は、どんなことがするのが好き?


ジャクリーン:今は忙しすぎて。仕事はフルタイムだし、昼間はそれでつぶれちゃって、夜は大学院。それにイベントにも出なきゃいけない。週末は宿題か、ミス・ミシガンのイベント。そういうことがない時は、ミス・アメリカの準備のために、ジムに行って必死で鍛えています。だからヒマな時はジムかな…。


インタヴュアー:あなたのことで、みんながまだ知らないこと教えてもらえます?


ジャクリーン:ほとんどの人は、私を見たら、今までの人生ずっとコンテストのことばっかりだったんじゃないかって、もしかしたら思ってるかもしれない。でもそんなことはないんです。ミス・ミシガンは初めてのコンテストでした。両親にエントリーのことを言った時は、両親とも不意打ちを食らったみたいにしてました。私は今までそんなことに興味がなかったから。おてんばで、7年間バスケ、その後4年間はバレーボールをしてたし。ソフトボールや陸上、それに水泳教室にも通ってました。競争好きなのね。それにスポーツが教えてくれたことは私を成長させてくれた。舞台ではヒールを履かなきゃいけないけど、本当は今でもナイキのランニングシューズで出たいくらいです。

ジャクリーンさんのミス・ミシガン受賞のテレビインタヴュー映像はこちらです。

プレパレーション(こころの準備)

 先にご紹介した「治療と外科手術についての質問(6)」では、まだ小さなお子さんが病院に行くとき、お子さんに心の準備をしておいてもらうための工夫が書かれていました。もう一度見てみましょう。

A:次に病院にいくときに、約束の日はいつなのか、誰と行くのか、何を行うのかその予定についてお子さんに事前に話し、心の準備をしておいてもらうのがいいでしょう。まだお子さんが小さい場合には、ペットやお気に入りの人形で病院にいくことを演じてみせるというのもいいでしょう。子どもに親の役をやってもらって、ペットや人形をお医者さん役の皆さんのところに連れて行ってもらうのです。病院ではどのようなことをするのか説明して、ペットや人形でやって見せてあげてください。そして実際病院に行くときにも、ペットや人形を一緒に連れて行ってください。


 まだ小さなお子さんは、病院という所がどういう所かまだ分からず、いつもとかなり違う環境や、お医者さん看護師さんなどの見知らぬ人達、よく分からない機械、痛い注射、必要に応じて裸になること、そして性分化疾患を持つお子さんの場合は、自分の大切なところをお医者さんに見せなくてはならないなど、とても大きな不安や緊張、怖さなどを感じるということもあるかもしれません。そうなると、また病院に行くという時、お子さんは行きたがらなくなるということもあるかもしれませんし、親御さんもとても忍びない思いをされることもあるでしょう。

 このような場合、病院に行く前に、お子さんの年齢に応じて、病院がどういうところなのか、どういうことをするところなのか、事前に説明をしておくと、お子さんの不安や緊張が少し和らぐということがあります。

 「プレパレーション」とは、英語の"prepare"(準備をする)から来た言葉で、病院に行く前や、病院で診察・検査・手術をうける前などに、まだ小さなお子さんに、これから行うことを分かりやすく説明し、「こころの準備」をしてもらうようにすることです。

 説明と言っても、まだ小さなお子さんには口で言うだけではなかなか伝わりません。そこで、ぬいぐるみや人形、おままごとのお医者さんセットなどを使って、病院で行うことを先に実際に見てもらうようにするのです。

 看護師さんが新米の看護師さんにプレパレーションを説明しているところを引用します。

 まず一言でいうと、プリパレーションというのは大人でいうインフォームドコンセントみたいなもの。

 例えば「あなたは胃の手術をする必要があります」と言われた場合、大人だったら何故か?どんな手術か?原因は?等、いろんな予備知識があるから質問出来るし医師からの説明を受けてもある程度理解できるでしょ。でも、子供にはさっぱりわからないワケよ。胃ってナニ?どんなモノ?て疑問だらけの状態。

 この子供が抱く〈何故?〉を分かってもらうためにプリパレーションがあるの。

 分からないままいきなり処置なんかをやってしまうと、子供はただおびえるだけで、医療関係者や病院に対して否定的なイメージを持ったまま成長してしまう。それに病気に立ち向かうことが出来ないでしょ。不安や恐怖をできるだけ少なくして、これから始まる入院生活に頑張っていけることを目的にしているのよ。

 例をあげると、手術予定の子供に対して着せ替え人形みたいなものを作って、病衣から手術衣に着替えるところをやって見せる。そして、実際子供にも体験させることで手術当日に手術衣に着替えることに対して抵抗をなくすという感じ。医師も普段の白衣と違うから、手術衣に着替えマスクを付た人形を見せることによって、衣服が違うだけでいつもの医師だと理解させるのよ。

 作成するのは大変だけど、これをしておくと処置や準備がスムーズに進んで、看護師も子供も楽。ぜひ、頑張って子供に役立つものを作ってね!

(看護師コミュニティ)

 小児医療を専門としている病院では、熱心な看護師さんなどによってプレパレーションが実践されているところもあります。これは工夫次第で家でもできることです。お子さんが不安が高い場合など、ぜひご家庭でもお子さんに合わせて、工夫してやってみてください。

 こちらの資料はプレパレーションについて、絵付きで説明されていて分かりやすいです。
「プレパレーションの実践に向けて 医療を受ける子どもへの関わり方」

 看護師さん向けですが、本も出ています。

病気の子どもへのプレパレーション―臨床ですぐに使える知識とツール (Primary Nurse Series)

病気の子どもへのプレパレーション―臨床ですぐに使える知識とツール (Primary Nurse Series)

 親御さんとしては、お子さんの性分化疾患の医療については、辛く忍びない思いをされていらっしゃる方も多いでしょう。少しでもお子さんに嫌な思いをさせたくないと思う親御さんもいらっしゃると思います。プレパレーションはそのための一つの方法です。ですが、性分化疾患の医療については、特に大きな病院では、手術や検査の際、研修医の先生などがたくさん来られてお子さんの大切なところを見るということが今でもあるようです。これは大学病院等では研修目的でされているのですが、お子さんや親御さんにとっては、お子さんの性に関わる大切なところを大勢に囲まれながらジロジロと見られるという、一種異様な状況にもなり得ます。性に関わることは本来、大切な人に大切に扱われるべきところで、病院で嫌な思いをされた方や親御さんもいらっしゃいます。これではプレパレーションも意味をなしません。担当されるお医者さんには事前に、大勢に囲まれてジロジロ見られるということがないか確認して、もしあるような場合は、はっきりと断ることも重要です。

治療と外科手術についての質問(7)

   
Q:思春期についてどのようなことを考えておけばいいですか?

A:思春期については第2章をご覧ください。

Q:子どもが落ち込んでいます。どうすればいいですか?

A:もしお子さんが悲しんでいたり引きこもりがちになっている、または食欲がなかったり眠れなかったりするような場合は、お子さんはうつ状態にあるかもしれません。お子さんの担当医に相談して、メンタルヘルスの専門家(児童心理学者や児童精神科医、臨床心理士)を紹介してもらってください。お子さんが今どんな気持ちなのか話し合う方法については、第2章「子どもの成長と、子どもにどのように話していくか」も御覧ください

治療と外科手術についての質問(6)

Q:病院に通うことについて、子どもにはどう理解してもらえばいいでしょう?

A:次に病院にいくときに、約束の日はいつなのか、誰と行くのか、何を行うのかその予定についてお子さんに事前に話し、心の準備をしておいてもらうのがいいでしょう。まだお子さんが小さい場合には、ペットやお気に入りの人形で病院にいくことを演じてみせるというのもいいでしょう。子どもに親の役をやってもらって、ペットや人形をお医者さん役の皆さんのところに連れて行ってもらうのです。病院ではどのようなことをするのか説明して、ペットや人形でやって見せてあげてください。そして実際病院に行くときにも、ペットや人形を一緒に連れて行ってください。

 何度もお医者さんのところに通うのは、特に性器の検査がある時には、お子さんにとってストレスになることもあるかもしれません。本当に必要な検査なのかどうか確認し、できるだけ検査や処置が少なくてすむような方法をお医者さんといっしょに考えるようにしてください。

 お子さんの健康を守るために何が役に立って何が役に立たないのか考える時には、皆さんご自身の親としての直観も大事にしてください。大学病院を利用される場合には、お子さんの診察の時に同席する医学生や訓練生の数を減らしてもらうこともできます。もし診察での周りの態度でお子さんのプライバシーや尊厳が傷つけられるように思われるなら、一度診察場面を止めてもらって、お子さんが安心していられるよう皆さんができることを考えるようにしてください。

 成長に合わせて、お子さんと担当のお医者さんが直接お互いに話ができるようにしていきましょう。そうしていくことで、お子さん自身が自分の治療について理解し、最終的には自分で管理ができるようにしていくのです。それにお子さんには、自分で自分のことをちゃんとできる子だと、皆さん親御さんが信頼しているというメッセージにもなるでしょう。青年期になったら、お子さんが信頼できるケア提供者とひとりで話せる機会を作ってあげてください。そうすれば、親の前では言いにくいような問題(性機能の話など)を個人的に話すことができるでしょう。どんなケア提供者がいいのかは、お子さん自身に決めさせてあげてください。

 治療についてお子さんを支えていく方法については、第2章「子どもの成長と、子どもにどのように話していくか?」も御覧ください。

治療と外科手術についての質問(5)

Q:担当のお医者さんが、この子の性分化疾患のことをあまりご存知ではないようです。どうすればいいですか?

A:お子さんの疾患についてもっと情報を集めるところから始めましょう。図書館に行くのもいいですし(特に医学書が役に立ちます。図書館司書に訊ねてみてください)、インターネットを活用するのもいいでしょう。患者会の情報も探しましょう。通っているお医者さんが、お子さんの担当医として、お子さんの性分化疾患にあまり詳しくないことがはっきりしたなら、皆さんが見つけた資料について話し合うことで、お医者さんに情報を伝えるお手伝いができるかもしれません。子どものために何とか一緒にやっていきたいんだという態度で情報を共有すれば、失礼には当たらないでしょう。もしこれでお医者さんがもっと調べるようになってくれたら、信頼して一緒にやっていけるでしょう。しかしもしお医者さんが、お子さんの最適なケアに必要なだけの経験、知識、技能を持っていないようなら、セカンドオピニオンとして別のお医者さんを探してください。もしセカンドオピニオンの先生が遠方であったとしても、お近くの最初の先生と協働してくださるということもあるかもしれませんし、そうでなかれば、時間と距離がかかりますが、より専門の医師のところに通うことにする決意をされる親御さんもいたっしゃるでしょう。サポートグループでは、親御さんが見つけた知識と経験豊富でしっかりしたお医者さんの情報を持っていることが多いでしょう。*1。  

*1:訳者注:日本の場合は、アンドロゲン不応症の女性、ターナー症候群、副腎皮質過形成を除いて、医療との協働でのサポートグループがまだ整備されていません。それぞれの疾患や状況に応じた患者会の整備を私たちは望んでいます

治療と外科手術についての質問(4)

   
Q:性分化疾患とは何ですか?何が原因で起こるのですか?

A:これについては第1章をご覧ください。第5章の身体的性別と性器の発達の資料も参考になります。 


Q:私の子どもは妊娠できるのですか?

A:性分化疾患を持つ人が生物学的なつながりのある子どもを持つことができるかどうかは、それぞれ固有のからだの状況や治療のあり方によって違ってきます。それに、お子さんが親になるかどうか決める頃に、生殖医療技術がどれほど進歩しているかどうかによっても違ってきます。性分化疾患を持つ子どもの中には、その疾患ゆえに現在の時点では不妊ということになる子どももいますが、ずっと先の将来には、医療技術の進歩によって、生物学的なつながりのある親になることもできるかもしれません。

 お子さんの場合で不妊が問題になりそうであれば、親になる他の方法について、息子さんや娘さんと正直に話しあうのに早すぎるということはありません。お子さんが何を知りたいのか、皆さんが思うところに沿っていけばいいのです。お子さんの疑問に皆さんが応える時、どうか覚えておいてください。皆さんとお子さんとのつながりは、皆さんがお子さんを想う気持ちで出来上がっているのですから、お子さんとお話をされるときに、悲しくなったり申し訳なさに自分の身を守りたくなっても全然おかしくないのだということを。

 どうやってお子さんと不妊の可能性について話をするか、第2章をご覧ください。第2章では、不妊なのだから安全じゃないセックスをしてもいいんだと息子さんや娘さんが考えたりしないよう、どのようにセックスについて教えていくかヒントも示しています。

Q:子どものこの状態は遺伝性のものなのですか?次の子どもも同じ状態なのでしょうか?私の親類にも同じ状態を持った人がいるのでしょうか?

A:この質問への答えは、お子さんの性分化疾患の種類によります。もしご心配であれば、お医者さんに相談してみてください。また、お子さんの性分化疾患の原因が理解できるよう支援してくれる遺伝カウンセラーを紹介してもらうのもいいでしょう。